「Web3やメタバース、3DCGの領域で活躍するクリエイターさんについてもっと知りたい」そんな思いからMetaStep(メタステップ)でスタートした新コラム「クリエイターの履歴書」、第3回目です。
今回はデジタルポップアーティストとして活躍中のTAKUROMANさんをご紹介します。TAKUROMANさんは世界最大級のNFTカンファレンスである『NFTNYC2023』にてスピーチしたりと、日本だけでなく世界を股にかけて活躍されていますが、なんと35歳までは、アートやNFTとは無縁の世界で生きてこられてきたという、異色の経歴の持ち主。
若い方、学生の方はもちろん、TAKUROMANさんのように、かつてアーティストを夢見ていた、という方にもぜひご覧頂きたい内容です。それではご覧ください!
子どもの頃からの夢を忘れられず、 35歳の頃に⼀念発起して漫画学校にフルタイムで入学。ゼロから漫画の書き方を学ぶ。同時期、感銘を受けた書籍「人体クロッキー」の著者、高桑真恵氏から特別指導を受ける機会に恵まれ、描画技術を身につける。
漫画学校修了後は、仕事をしながら通勤時の移動時間などにiPhoneやiPadで絵を描き、Instagramにアップする活動を続ける。10個のうち1個はよいと思える作品ができたので、理論上1000点の作品を描けば、100点の良作が生まれると考え書き続けるうち、いつしか作品が2000点を超えていた。
それを機に2021年3⽉、アーティスト活動を開始し、クリエイターEXPOに初出展する。当時ちょうどイギリスのアーティスト・BeepleのNFT作品が75億円で落札されたというニュースが話題になり、⽇本でもNFTが盛り上がり始める。
同時期、NFT作品を発表開始。SBINFT Market nanakusaの公認アーティストに選ばれる。その後、複数のNFTプロジェクトに参加。1000年後の人々に行動を促す独自のコンセプトのNFTアートコレクション「千年の戯れ」を立ち上げる。有名音楽アーティストと共演したステージで描いたライブペイント作品3点はSBINFT MarketのNFTアートオークションで完売。
以来、アートは完成した作品だけでなくプロセスにこそ重要な意味があると考え、AIにはない人間ならではの表現を追求している。
TikTok。
タイで射撃に挑戦した時の動画が、オリンピックで活躍した射撃選手の無課金おじさんとの関連でバズり、160万回以上再生されました。TikTokは表現しやすいツールで、表現者の裾野を広げましたね。
テニスを1年のうち360日くらいしていました(笑)。
そこそこ勝てるようになったものの、地区(東海学生)の上位ランカーにはほとんど勝てませんでした。慣れた環境だけでなく、外部の刺激のある環境で訓練を積むことの重要さを実感しました。
子どもの頃から漫画家になりたいと思っていた理由は、自分の中に「伝えたい」「表現したい」という思いがあったからだとアーティスト活動を始めてから気が付きました。
今は一枚絵で表現することが多いのですが、何かを表現し伝えられるのであれば、手段は他の方法、でもよいと思うようになりました。というのも伝えたい内容により最善の手段はおそらく異なるのです。
きっと誰もが心の中に何らかの原動力があり、それに突き動かされるのだと思います。
自分にしかできない表現、この時代にしかできないこと、を追求していきたいと思います。
今ある現実を受け入れ、どんな最善手を打っていくか、日々チャレンジです。
新たなテクノロジーの登場により、ひと昔前と劇的に環境が変わりました。
NFTはデジタルアーティストに原画価値という概念をもたらしました。メタバースには世界中から収集したNFT作品を一堂に展示することができます。
AIは人間では作れないような静止画や動画を生み出すようになりました。ほんの数年前にはまだこれらは無かったのです。新たな可能性が広がった分、クリエイター自身の思いや考え方が重要になってきたと思います。
以前は他のクリエイターとの差別化を考えればよかったのが、今ではAIと自らの作品の違いを明確にする必要が生じました。AIクリエイターを目指すとしても、AIを活用して生み出した作品の背後にあるコンセプト、すなわち何を伝えたいのかが大事になります。
しかしながら、伝えたい思いや考える力というのは自らの経験から生まれるものです。多角的な視点や苦い失敗など、人生の経験が深みとなり、作品に表れると思います。クリエイターを目指す方は、技術を身につける一方で、さまざまな経験を楽しみながら、自分が表現したい思いを追求していかれるとよいかと思います。
AIとの差別化は僕にとっても大きな課題です。ひとつの切り口としては作品を生み出すプロセスに価値があるという考えです。僕の場合はライブペイントで即興的な絵を描きますが、そこで見た人にしか感じられない何かを伝えることができます。そこは今後も重きを置いていきたいです。
また、仕事をする傍ら、アーティストとして活動したことで、自分らしく表現することの大事さを実感しました。すると不思議なことに、仕事においてももっと自分を表現していいのだと思えるようになり、仕事に自信を持てるようになりました。(情けない話ですが、それまでは全く仕事に自信が持てず、やる気も上がりませんでした)
自分自身、ビジネスとアーティスト、どちらも経験したことで気づいたことがたくさんあります。以前の自分のように、夢を忘れられない、仕事にやる気が出ない、自信を持てない、と悩む人々に向けて、僕なりの解決策を伝えたい思いがあり、もしできれば本を出版したいと考えています。
TAKUROMANさんのお話しで、印象的だったのは、35歳で再び、アーティストを志したこと、志しただけではなく、実際に行動に移し、念願のアーティストになられたこと。思い立ったとしても行動に移せないことも多いですが、改めて行動に移すことの大切さを感じました。
『今後の目標』にも記載がありましたが、ご自身の経験を他の方にも伝えていきたいという想いも強く、TAKUROMANさんには今後も、クリエイターを志す方に向けて、コラムをご寄稿いただく予定です。ぜひ、お楽しみに!