NFTを活用したビジネスには今や多様なものが存在しています。しかし、NFTビジネスがまだ黎明期にあることも事実。どのビジネスが今後も生き残るかは定かではありません。
数あるNFTビジネスの中で長期的な発展が期待されるプロジェクトを3つ取り上げて、具体的に解説します。
BAYCは、海外のNFT制作スタジオ「Yuga Labs」が手掛けるNFTプロジェクトです。
(引用:BAYC)
2023年11月25日現在のフロアプライス(最低取引価格)は約30ETH(約935万円)となっており、世界でも最も高額なNFTコレクションの1つだとされています。猿をモチーフにデザインされたBAYCは、世界の名だたるセレブリティが保有しており、ジャスティン・ビーバーやマドンナ、ネイマール、パリス・ヒルトンなどが挙げられ、中には自身のSNSアイコンの画像として用いているケースも見られました。
BAYCを運営しているYuga Labsは現在、「Otherside(アザーサイド)」と呼ばれるオリジナルのメタバースプラットフォームの開発に力を注いでいます。Othersideでは、BAYCを始めとする世界的に有名なNFTを、3Dキャラクターとしてメタバース内で利用できます。また、2022年12月からYuga LabsのCEOに就任したダニエル・アレグレ氏は、米大手ゲーム会社のアクティビジョン・ブリザードで社長兼COOを務めた経歴もある人物です。
そのため、今後はOthersideのメタバース内で様々なゲーム事業を展開することも期待されています。
CNPは、株式会社バケットが開発を手掛ける日本を代表するNFTプロジェクトです。
2023年11月25日現在のフロアプライスは約0.55ETH(約17万円)となっており、過去には約3ETH(当時のレートで約72万円)を記録したこともあります。パンダやウサギなどのかわいらしいデザインが描かれたCNPは、「CryptoNinja」というNFTコレクションから派生する形で誕生しました。
CNPの作品数は22,222点となっており、日本における大規模なジェネラティブNFTコレクションの先駆け的存在でもあります。現在は、CNPを題材としたキャラクタービジネスの多角的展開に力を入れています。
手軽に楽しめるスマホゲームの「CNPバーニンウォーズ」、CNP保有者同士のコミュニケーションツールであり、スマホの歩数カウント機能と紐づいてポイントを獲得できるアプリの「CNP Friends」、CNP保有者が国内外の店舗やオンラインショップで割引・特典を受けられる「CNP Owners」など、純粋なNFTアートの枠を超えた様々な事業を行っています。
JobTribesは、シンガポールに拠点をおく日本企業のDEA社(Digital Entertainment Asset Pte.Ltd)が手掛けるNFTゲームです。2023年11月現在、DEA社は全世界に約270万人のユーザーを抱えるゲームプラットフォーム 「PlayMining」を運営しています。PlayMiningの中の代表作がNFTカードバトルゲーム「JobTribes(ジョブトライブス)」です。
(引用:PlayMining公式サイト)
JobTribesは、ゲームをプレイすることで暗号資産を稼げる「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」という特徴を持っており、主に東南アジア地域を中心に爆発的な流行を見せました。ゲームの中では、キャラクターが描かれたカード自体がNFTとして扱われており、NFTのカードを用いてゲームに勝つことで暗号資産を獲得できます。JobTribesが特に注目を集めた理由は、「スカラーシップ」という制度にあります。
スカラーシップは「NFTの貸し借り」を行う制度です。
JobTribesをプレイして暗号資産を稼ぐために必要なNFTは、1点あたり数十万円で取引されることもあるほど高額です。つまり、NFTを買う資金力がないプレイヤーは、自力では「Play to Earn」の仕組みを利用できないという構造があります。そこで用いられる制度がスカラーシップです。
スカラーシップ制度では、資金余力のある投資家がNFTのカードを購入し、それを自分でNFTを買うことができないプレイヤーに貸し出し、投資家に代わってゲームをプレイしてもらうことができます。NFTを借りたプレイヤーは、ゲームを遊ぶことによって暗号資産を獲得します。そして、収益の一部は投資家に還元される仕組みになっています。
このように、JobTribesではNFTの貸し借りを可能にする制度を作ったことで、投資資金の多寡にかかわらず、世界中のプレイヤーが参加できるゲームプラットフォームの構築に成功しています。