日本でNFTが盛り上がり始めた2021年以降、現在に至るまでNFTは様々な活用方法が模索されています。
2023年11月現在、NFTのビジネス活用が特に進んでいるジャンルの具体例について解説します。
まず大前提として、NFTのビジネスへの応用はいまだ過渡期にあります。
日本でNFTという言葉が話題になり始めたのは、2021年の秋頃です。そこから2年余りが経過し、NFTは多様なジャンルで使われ始めているものの、最もメジャーなイーサリアムチェーンのNFTでさえ、手にしたことがあるユーザーはいまだ人口の0.01%程度とも言われています。本記事はあくまで、そのような状況下におけるNFT活用の現在地を考察したものです。
今後、ユーザー数が急速に拡大すれば、NFTの活用法も大きく変わる可能性がある点は理解しておきましょう。
(引用:写真AC)
NFTの活用が最も進んでいるジャンルの1つめが「キャラクタービジネスへの展開」です。
国内外ともに、NFTがブームになったきっかけはNFTのアート作品でした。日本では、2021年頃は個人で活動しているイラストレーターを中心に、そして2022年からはジェネラティブNFTと呼ばれる数千〜数万点の作品群を用意した大規模なNFTアートのプロジェクトが人気を集めました。
当時は、あくまでアート作品としてのNFT画像が存在するだけであり、そのNFTを活用したビジネスはあまり展開されていませんでした。しかし、2023年に入ってから暗号資産やNFTの市場が冷え込むにつれ、単に「かわいい・かっこいい」だけのNFTは次第に売れなくなりました。
そこで、各NFTプロジェクトが力を入れ始めたのが、NFTアートとして描かれているキャラクターを活用した「キャラクタービジネス」への展開です。ゲームやアニメ、漫画、あるいはリアルなグッズの販売など、多方面で収益が発生するポイントを作る動きが見られるようになりました。その結果、コアなファンがついているNFTコレクションにおいては、仮にNFT自体が売れなくても十分に売上が立つビジネスモデルとして定着し始めています。
2つめは、「ゲーム内アイテムとしての利用」です。
(引用:写真AC)
ゲームにおけるNFTの活用は古くからあり、すでに世界中のプレイヤーが「NFTゲーム」と呼ばれるジャンルのゲームを楽しんでいます。NFTゲームにおける重要な概念の1つが、Play to Earn(遊んで稼ぐ)と呼ばれるものです。これは、ゲーム内の特定のアイテムを所有した状態でゲームをプレイすることで、暗号資産を稼げるという仕組みです。この仕組みが、かつてフィリピンを始めとする東南アジア地域で爆発的に流行し、一大ブームを築きました。
そして、この「ゲーム内のアイテム」こそがNFTであり、プレイヤーはゲーム内アイテムとしてのNFTを暗号資産で売買したり、ゲームプレイによって取得が可能です。ゲーム内の経済と現実の経済を結びつけることに成功したNFTゲームは、キャラクタービジネス以上に大きなチャンスを秘めたNFT活用が見込めるジャンルだと言えます。
3つめは、「コミュニティ構築の手段」です。
これは、2023年時点において、NFTを活用したすべてのビジネスにおいて重要な要素であると言えます。なお、キャラクタービジネスやゲームの場合とは異なり、コミュニティの構築自体がなんらかのビジネス性を持つわけではありません。
NFTを始めとするweb3産業においては、「コミュニティ」が重要視されています。DAO(自律分散型組織)という言葉もあるように、web3のプロジェクトを進める際は「トップダウン型」ではなく、「コミュニティメンバーがフラットな関係で議論を進めていく」という形式のほうがよりマッチするケースが多く見られます。しかし、プロジェクトを進めていく中心メンバーの選出については、「コミュニティ参加者なら誰でもいい」というわけではありません。
そこで活用されるのがNFTです。Web3関連のコミュニティの多くは「Discord(ディスコード)」と呼ばれるアプリを用いて運営されています。Discord内では、特定のNFTを所有しているユーザーだけが参加できるチャットグループを作ることができます。
つまり、NFTは「特定のユーザーだけが参加できるコミュニティ構築の手段」と位置づけることができ、アートやゲームなどのジャンルを問わず、様々なweb3コミュニティで活用されています。