クリエイター/ディレクター
最愛の娘へ贈る「おばけの世界」を「絵本」や「メタバース」に創っている人。創造を続けている目的は『100年残るIPとしておばけのパッチを新たな文化にし、子どもにおもしろい未来を贈る』。
どうも、メタバースでクリエイティブな活動をしている「いけもとしょう」と申します。
今回は『メタバースは一般人の「日常」にはなってないよね』というお話をさせて頂きます。
多くの企業や経営者の方から質問された内容を元に、まとめておきます。
メタバースの空間をクリエイトし続けていると、ありがたいことに多くの方から「メタバースについて教えて!」とご連絡を頂くようになり、様々な企業や経営者様とお話させて頂く機会を得ました。
やはり、元Facebook社のマーク・ザッカーバーグが「社名をMetaに変えて、メタバースに注力します!」と言い放ったことがきっかけで、興味を持ったのでしょう。
お話させて頂いた企業様の業種は様々で、ファッション、建築、人材派遣、教育、エンタメなどなど…。
クリエイティブ関係だけでなく、色々なジャンルで「ウチでメタバースを使うならどうしたらいいのか」を模索していたんだと思います。
そんな中、『池本調べ』にはなりますが抜群に多かったご質問があります。
それが…
「人に居続けてもらうメタバース空間ってどんなんですかね?」
先に結論を言います。そんなもの、現代にはないです。
そりゃ日常的に使ってもらった方がマネタイズしやすいかもしれないですけどね。
皆さんは「ハレ」と「ケ」という概念をご存じでしょうか。
Wikipedia先生によると、『民俗学や文化人類学において、「ハレとケ」という場合、ハレは儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、ケは普段の生活である「日常」を表している』と書いてあります。
「ハレ=非日常」「ケ=日常」です。
さてここで。
皆さんにとって「メタバース」は「日常」ですか?
普段の生活の中に「メタバース」は溶け込んでますか?
1日24時間のうち、「メタバース」で過ごす時間はどれくらい?
はい。
…「メタバース」は「日常」ではないんです。
「メタバース」は「非日常」なんです。
いや、確かにいますよ。
実際お話してきた生粋のメタバース民の中には、1日の半分以上VRゴーグルを被って「メタバース」の世界に潜り、VRゴーグルをつけたまま「メタバース」の中で眠りにつき、VRゴーグルをつけたまま「メタバース」で起きるって人たちも。
でもまだまだマイノリティ。
世界人口から見ると、ほんっっっっっと一部の人です。
なんならそういった「メタバース」に潜っている人も、トイレへ行くときやお風呂に入る時、ご飯を食す時や眠っている実際の体があるのも現実の世界です。
「俺たちファミリー!」みたいな比喩ではなく、法律上血のつながった家族がいるのも現実の世界です。
人間の3大欲求である「食欲」「睡眠欲」「性欲」が全て現実の世界にあるので、どうしても「日常」は現実の世界になります。※VRやメタバースの世界にも水商売はあるという噂も??
つまり現時点で「メタバース」というのは、ケである「日常」にはなりえず、ハレである「非日常」ということです。
現代において、「ずっと人が居続ける、日常としてのメタバース」がないことは理解できたと思います。
ちなみにしきりに「現時点で―」「現代において―」と言っているのは、数年後どうなっているのか分からないからです。『サマーウォーズ』とか『ドラえもん』、『レディ・プレイヤー1』のような未来が来てたら、「メタバース」が日常になっていることもあり得ると思いますけどね。
…話を戻します。
現実の世界でハレと言えば、Wikipediaにも書いてあった通り「祭り」ですよね。
ここに出てくる「祭り」というと、昔からある「感謝や祈りを神仏や祖先に捧げる行為」であり、年に数回しかない行事です。そして人々はこの祭りの日(ハレ)を楽しみにしながら、日常(ケ)を過ごすという。
でも現代の「祭り」は「感謝や祈りを神仏や祖先に捧げる行為」だけではありません。人によって環境が違う時代ですので、人それぞれの「祭り」であり、ハレが存在します。
音楽ライブとか。
スポーツの大会だとか。
旅行とか。
友達と遊ぶ日とか。
彼女とデートとか。
家族とお出かけとか
こういったものは、「日常」の中には必ず必要なものではない(なくても生命として活動を続けられるって意味です)ですが、需要のあるエンターテインメントがほとんどです。
そしてお分かりの通り、現状の「メタバース」は『エンターテインメントの祭り』とめちゃくちゃ相性がいいです。
毎日メタバースへ仕事しに行くという習慣はないけれど、メタバースで開催される音楽フェスとなったら急に行ってみたくなりますものね。
(引用:写真AC)
もう1点。
「祭り」は続けることで、定例化し、文化になります。
その「祭り」が「メタバース」で行われていることに誰も違和感や疑問を抱かなくなります。
そうなったらもう、ビジネス的には勝ちです。だってもう文化なのだもの。
その「祭り」が続いてきた「時間」だけは、新規参入者がおいそれと真似することはできませんし、追い越すことはできません。
「メタバース」は「非日常」。
不格好でもいいから、まずは「メタバース」で「祭り」を始めてみる。
これが、とても大切な考え方だと思います。
「メタバース」というものを、自分の企業周り(社員や顧客)にとって当たり前な存在にしたいと誰もが考えるのですが、「日常」にすることが先行してしまう場合が多いんだろうなーと感じました。
それよりも「非日常」を繰り返していき、速攻で実行と改善を繰り返しながら文化にしていく方が、時間はかかるけどデータが確実に積み上げられるのかなと思います。
では。