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2023.12.13

【連載】GUCCI・adidasも参戦!メタバース「The Sandbox」とは!?

メタバースクリエイター&ディレクターの いけもとしょう さんにメタバースのあれこれを語っていただく本連載。
今回は、大手企業も参入する「The Sandbox(ザ サンドボックス)」について大いに語って頂きました。
いけもとしょう

クリエイター/ディレクター

最愛の娘へ贈る「おばけの世界」を「絵本」や「メタバース」に創っている人。創造を続けている目的は『100年残るIPとしておばけのパッチを新たな文化にし、子どもにおもしろい未来を贈る』。

note|https://note.com/ikemotodir

どうも、メタバースクリエイター&ディレクターの「いけもとしょう」と申します。今回は『ブロックチェーン上のメタバース”The Sandbox”(ザ サンドボックス)』について書いていきます。

私自身、「The Sandbox」で2年半近くクリエイティブな活動を している中で、経験したことや実践したことも含めお話していきます。

「The Sandbox」ってどんなメタバース?

まずは「The Sandbox」が、どのようなメタバースか見ていきましょう。

(引用:The Sandbox YouTubeチャンネル)

香港に本社を構える、ブロックチェーン上のメタバースプラットフォームであり、特筆すべき点は、以下の2点かと思います。

 ①ボクセル

 ②ブロックチェーン

まず1つ目は「ボクセル」についてです。

ボクセルとは「ボックスセル(四角い細胞)」の略で、世界的に人気なゲーム『マインクラフト』の質感に似ています。ブロックの組み合わせで、アバターや置物、建築物が形創られていて、世界が構築されているって感じです。

「The Sandbox」はボクセル調の世界観です。

経営者の中には、初めて「ボクセル」に触れると少しだけ「うっ……」となってしまうかもしれません。メタバースとか3DCGっていうと、ツルンとしたいわゆる「3D」の質感のイメージが強いと思うので…。なんせ、私も最初はそうでした。

しかし、子どもたちや若者にとって「ボクセル」は市民権を得ています。

もちろん国内外問わず、です。

なぜなら世界的人気ゲーム『マインクラフト』がボクセルで、その『マインクラフト』を世界中のYouTuberさんが実況しているから。

そして「The Sandbox」の特徴2つ目は「ブロックチェーン」です。

暗号資産やNFT(Non Fungible Token)に使われている、革新的な技術になります。

「ブロックチェーン」や暗号資産、NFTについてはここで細かく記載しませんが、この技術が使われていることでおもしろいことがたくさんできるようになっています。

一応、NFTにだけ簡単に触れておくと、デジタルコンテンツにシリアルナンバー付きの証明書をつけて、「これが本物!」「今これは○○さんが所有してる!」とすることができる技術です。

これまでデジタルコンテンツに価値はつきにくかったのですが、NFTにより、より簡単に価値をつけることが可能になりました。

話を戻します。

例えば、「The Sandbox」には、「SAND(サンド)」という暗号資産でアセットやアバターを購入することができます。また、このアセットやアバターはNFTです。

さらにThe Sandboxには広大なマップが存在し、166,464個の土地に分割されています。

そしてこの土地をLAND(ランド)というのですが、LAND1つ1つがNFTになっています。目に見えない、手に持てない土地に価値が生まれるっておもしろい感覚ですよね。

ちなみにLANDを持っていないと、せっかく時間をかけて創ったワールドも公開することができません。

これを読んで頂いただけで「なんかすごそう……」と思っていただけたかと思うのですが、そこに目を付けた企業はたくさんいます。

海外だと「adidas」「GUCCI」「Warner Music」などなど、大手企業がどんどん参画していたり、日本国内でも「avex」「渋谷109」「SQUARE ENIX」などが参画しています。

(引用:アディダスジャパン

また、国内の有名IP(知的財産)である「キャプテン翼」「北斗の拳」などもワールドを公開しており、現在本格オープンに向けて盛り上がっているプラットフォームです。

(引用:Minto プレスリリース

「クリエイターエコノミー」を実現できるプラットフォーム

「1」でご紹介した「ブロックチェーン」が関係してくるお話なのですが、「The Sandbox」はクリエイターエコノミーを実現することができます。

クリエイターエコノミーとはその名の通り、「創り手の経済圏」です。

個人単位のクリエイターでも、自身の作品で収益をあげて、さらに素敵な作品を生み出すという。

※クリエイターエコノミーに関しては諸説あります。私はそう認識しております。

まさにアセットやアバターを創りだして、ユーザーに購入してもらう形です。

さらに「The Sandbox」は、公開したワールドへの入場料などを徴収することが可能になります。

また自分の所有しているLANDを他の人へ貸し出し、そのレンタル料を徴収することもできるようになります。

「モノを創って売る」だけでなく、1つのワールドが1つの事業につながるため、クリエイターにとって新たな可能性になります。

もちろん、ワールドのデザインや導線などの作品だけでなく、マーケティング戦略やビジネスモデル構築の知識や経験がなければ難しいかもしれませんが…。

1点、メリットでもありデメリットでもある事を書くのであれば、売買のやり取りが「SAND(サンド)」という暗号資産や「ETH(イーサリアム)」で行われるという点でしょうか。

メリットでいうと、日本円という法定通貨ではなく暗号資産で経済圏が形成されているため、海外の方が購入してくれる可能性があります。

日本の人口は約1億人。

海外の人口は約79億人……と考えると、シンプルに母数が大きくなるのでその可能性の大きさが分かりますよね。

デメリットはというと、日本の税制が整ってないということ。

2023年現在、「暗号資産の相場の利ざやで得た利益」は雑所得と言われていますが、「暗号資産で得た売上」に関しては、事業所得なのか雑所得なのかフワフワしています。

雑所得に分類されてしまうとものすごい税金を持ってかれてしまうんですよね…。

ここに関しては、ご担当の税理士さんとお話して進めた方がいいと思います。

国内外の大手企業が「The Sandbox」に注目する理由

「2」でご紹介した通り、The Sandboxは1人のクリエイターが1つのワールドで収益を生み出せるクリエイターエコノミーにピッタリなのですが、1ワールドを本気で1つの事業化レベルまでもっていこうと思うと、とても苦労する……というより難しいと思います。

なぜなら「ビジネスモデルの構築」「マーケティング戦略」「経営」などの能力が必要になってくるからです。

……だからこそ、企業が「The Sandbox」にもっと参入していったら面白いし、向いているし、可能性が広がっているのにと思っています。

国内外問わず多くの企業が参入してきています。

ただそれらの企業の多くは、「利益あげまっせ~!」という考えではなく、以下のことが目的なんだろうなと、私は思っています。

・海外にブランドを認知させることができる

・メタバースやWeb3領域に参入したアピール

・海外の顧客にデジタル商品を届けたという実績

・デジタルコンテンツの売買を通し、新たな顧客&ファン層の形成

ここに価値を感じることができる日本企業の皆様にもぜひ参加していただきたいなと、1人のThe Sandboxクリエイターとしては思います。

企業が「The Sandbox」へ参入することに対し、暗号資産の税制やリテラシーの問題で参入しづらいというのは重々承知しております。

私もこれまで多くの企業様に「The Sandbox」の魅力や可能性を伝えてきましたが、実際に参入した企業様はゼロです。

でもどうか。

周りの企業が歩いていない道を進むことを恐れず、可能性を感じ取って頂けたらと思います。

では。