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2023.12.28

【連載】「NFT美術館」を通してお伝えする「メタバース事業の新発想」

メタバースクリエイター&ディレクターの いけもとしょう さんにメタバースのあれこれを語っていただく本連載。

今回は、NFTをテーマに、とリクエスト。

いけもと さんが取り上げてくれたのは「NFT美術館」です。では、よろしくお願いします!

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どうも、メタバースクリエイター&ディレクターの「いけもとしょう」と申します。

今回は「NFT美術館」を例にあげながら、メタバース事業の新しい発想についてお話をさせて頂きます。

メタバースをどう見るか?というお話です。

いけもとしょう

クリエイター/ディレクター

最愛の娘へ贈る「おばけの世界」を「絵本」や「メタバース」に創っている人。創造を続けている目的は『100年残るIPとしておばけのパッチを新たな文化にし、子どもにおもしろい未来を贈る』。

note|https://note.com/ikemotodir

NFT美術館の制作で学んだこと

2021年、NFT(Non-Fungible Token)やメタバースというものに世界が熱を帯びる少し前、私はブロックチェーン上のメタバース”The Sandbox”に「NFT美術館」というものを創っていました。

その名の通り「NFTを展示する美術館」です。

これは、私の発行した「展示権付NFT」を購入してくださったNFTアーティストorコレクターの方々が、自身の所有するデジタル作品を展示できるというもの。

今となっては『NFTを展示する』なんて当たり前ですが、2021年当時、周りの人は「NFTという新しい技術が生まれた!」「NFTのデジタルアートが売れるの!?」「デジタルの土地がNFTで所有できるってどういうこと!?」という認識だったので、私の周りでは同じことを行っている人はいませんでした。

さらにこの「NFT美術館」には、広告枠や展示枠なども組み込み、「個人がNFTやメタバースを使い稼げる仕組み」を形創りました。

そんな美術館について、YouTubeに動画をアップロードしたところ、日本テレビ「マツコ会議」に取り上げて頂くことに。多くの方に注目していただき、ご連絡も頂き、お話させて頂きました。

その中には『新しいテクノロジーを使った創造』に注目してくださった方もいるのですが、多くの人が注目した点は、『メタバースで稼げるんだ』という点だと思います。

この『メタバースで稼げる』に関しては、創ったメタバース空間でマネタイズをすることを実践した張本人なのでわかりますが、できます。しかし私の場合、他の経営者の方とはちょっと違う点で『事業になる』と思っています。

空間制作やイベントではなくて…

私が思う『新しいメタバース事業』をお話する前に、現状のメタバースビジネスについてまとめてみます。

多くは以下の3つかなと思われます。

①企業受託の空間制作
②イベントの主催・運営
③プラットフォーム制作

『①企業受託の空間制作』は、企業様が何かの目的で「メタバースの空間を創りたい!ほしい!」となった時に、企業様の意図を組んだうえで空間を創るという仕事。2023年、「Fortnite」で公開&注目された、

大手自動車メーカー・日産のメタバース空間「Electrify the World」は、株式会社ヒストリアというUnreal Engine(Fortnite運営会社EPIC GAMESが公開するゲーム開発エンジン)を使ったゲーム開発会社が制作しています。
■参考ページ:https://historia.co.jp/archives/37651/

『②イベントの主催・運営』に関しては、①で企業が創ってもらった空間の多くは、これに使われると思います。メタバースやVRを駆使したイベントの主催と運営は誰でもできる事じゃないので、①同様に需要は高まるでしょう。

国内大手のメタバース企業である株式会社HIKKYは、自社イベントであり、世界最大のバーチャルイベント「Virtual Market」を主催・運営しています。
■参考ページ:https://event.vket.com/

『③プラットフォーム制作』はハードルが高い分競合も少ないと思われますし、基本的にプラットフォーマーの取り分が一番大きいので事業として当たれば大きいです。ただしかなりの開発技術が必要ですし、刻々とニーズが変わってきているメタバース領域においてこれをあてることは難しいかもしれません。

だからこそ抑えられたらすごいのですが……。

国内で、メタバースプラットフォーマーの位置をがっちり掴んでいるのは、Cluster株式会社だと思います。クリエイターが気軽にワールドを共有でき、誰でも気軽に創る機能も搭載され、日本人にあったユーザーインターフェイス。

だからこそ、多くのクリエイターがここにワールドをアップロードし、たくさんのイベントを開き、そのユーザーの多さから企業も参入しているという好循環が生まれているのです。

参考ページ:https://cluster.mu/

……と、こういった事業が乱立する中、私が可能性を感じているのはこのどれでもありません。
もちろんこれらに付随する『メタバース広告事業』などでもないです。
何かと言うと『空間を売る』です。

1メタバース=1事業

NFT美術館は『稼げる仕組みが仕込まれている空間』なのです。

・広告の設置
・展示枠の販売
・個展会場の設立
・VIP専用プライベートルーム

加えて顧客は全世界の人間ときたものです。あとは事前に運営してみて、データを収集するだけ。
※もちろん本気で頑張らないと結果は出ないけども。

そんな美術館を欲しいアートギャラリー運営者や美術館経営者、はたまたビジネスオーナーは、すごくたくさんいます。だって箱とビジネスモデルが揃っていて、事前運営のデータによって収益予測もしやすく、現実の美術館より圧倒的に運営コストが低いんだから。正直言うと、「この美術館売るならいくら?」と何人かに聞かれたことがあります。※「3000万円です」って答えておきました。

私の場合、最初に思いついたのが「美術館」でしたが他にもいろいろなものに転用できます。さすがにその全てのアイデアをここで共有はしませんが、なんとなくイメージはして頂けたかと思います。要するに、1つの空間の中にマネタイズの仕組みを入れ、その空間ごと売却をするというやり方です。

この「1メタバース=1事業」という考え方、ぜひ、頭の片隅に置いておくといいかもしれません。

「1メタバース=1事業」と考え、「メタバースの空間を創ることは1つの事業を創ることなんだ!」と認識してしまえば、一気に可能性が広がると思います。企業はもちろん、クリエイターも主婦の方も、誰にでも事業を起こすチャンスが巡ってくるのですから。