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2023.12.28

【連載】「メタバース国家」がもたらすもの

メタバースクリエイター&ディレクターの いけもとしょう さんにメタバースのあれこれを語っていただく本連載。

今回は、「メタバース国家」をテーマに大いに語って頂きます。

いけもとしょう

クリエイター/ディレクター

最愛の娘へ贈る「おばけの世界」を「絵本」や「メタバース」に創っている人。創造を続けている目的は『100年残るIPとしておばけのパッチを新たな文化にし、子どもにおもしろい未来を贈る』。

note|https://note.com/ikemotodir

どうも、メタバースクリエイター&ディレクターの「いけもとしょう」と申します。今回は『メタバースに国を創る』という、ふざけてそうでとても真面目なお話をさせて頂きます。

オセアニアの小国「ツバル」の例

みなさんは、オセアニアにある「ツバル」という国をご存じでしょうか。

ツバルは人口12,000人(2020年)の国で、人口のランキングはバチカン市国、ナウルに続き下から3番目。で、面積は26km2。品川区(22.84km2)よりちょっと大きいくらい。1978年10月1日イギリスから独立した、まだ若い小国家です。しかしこのツバルという国の特徴は「人口が少ない」や「面積が少ない」ことではなく他にあります。

それが「地球温暖化による海面上昇で国家が沈む可能性がある」というところ。

オセアニアに浮かぶ9つの島で1つの国家が成り立っているので、本当にこの危機と立ち向かっているんだとか。海抜が最高でも5mに満たないんですって。

(引用:国際機関太平洋諸島センター

……さて。このままでは「オセアニアの沈む小国“ツバル”特集」で終わってしまうため、本題に入ろうと思います。なぜ今回ツバルの話をしたのか。それは、ツバルが「世界で最初のメタバース国家になる」という構想を発表したからです。

エジプトで開かれた温暖化について話し合う国連の会議では、ツバルのコフェ外務大臣がこのように話したといいます。

「このような島々は、急激な気温上昇、海面上昇、干ばつに耐えられません。だから仮想空間に島を再現するのです。一つ一つ国の姿を残し、人々を慰め、子や孫にかつてそこに故郷があったことを思い出させるために。」

国家の資格要件とは

そんなツバルは、2023年9月に行われた憲法改正で「仮に海水上昇で国土がすべて海中に沈んだとしても国家としては存続する」という規定を追加したそう。

Wikipediaによると、「国家の資格要件」は大きく分けて4つあります。(参考:Wikipedia「国家の資格要件」

  • 永続的住民
  • 明確な領域
  • 政府
  • 他国と関係を取り結ぶ能力

最低限をここを抑え、実際に他国からもこの力を認められたら国として存在できるらしいです。

……もしツバルが海に沈んでしまい、メタバース上にだけ形を残したまま国連から「国家」として認められると、アバターとしての存在が「永続的な住民」として認められることになり、メタバース上の空間が「明確な領域」として認められることになり、「政府」や「他国と関係を取り結ぶ能力」もメタバースで完結できることが証明されます。

「国家」とは何なのか。「メタバース」とは何なのか。とても考えさせられる話題だと、私は感じております。

「経済圏」とは「コミュニティ」で発生する

この記事をお読みの方の中で、「国を創ろう」と考えている方が少ないことは分かっています。もしいるなら、それは私と同じことを考えている人だと思うので個別にご連絡してくれればいいです。私がここで言いたいのはそんなことではなく、「ツバルという国のメタバース化」を受けて、それをどうビジネスに落とし込むかというお話なんですよ。

とても不謹慎かもしれないが、例えばいつかツバルが海に沈んでしまい、住民がメタバースで人とコミュニケーションを取ったり、物のやり取りを行うようになった場合を考えてみましょう。そこには必ずメタバースの「経済圏」が存在しているはずです。なぜならツバルの人たちにとって、「ツバルという国で生きる自分の生活に身近な売買を行う場所が現実にないから」。

そして同じような土地に、同じような習慣で、同じような感覚で生きている「国家」というものは、一種の「コミュニティ」でもあります。そう考えてみると、ツバルという「国家」は「コミュニティ」であり、メタバースに「経済圏」を創りだし運用していく、ということになります。そしてこれは何も国家レベルの話ではありません。メタバースというものが生まれたことによって、誰もが「人が集まることができるコミュニティ」を創りだすことが可能になりました。つまり、誰でも「経済圏」を創れるようになったのです。

企業が「経済圏」を抑えておく大切さでいうと、楽天がいい例ですよね。ショッピングを始め、楽天銀行、楽天モバイル、楽天生命保険、楽天トラベル、楽天イーグルス、楽天カード、楽天ペイ……。生活の中のありとあらゆるものを楽天は抑え、そこで得られる「楽天ポイント」を他の楽天サービスに使えるようにし、1つの「コミュニティ経済圏」を生みだしたわけです。

(引用:写真AC

まぁここまで大資本を入れて大規模に風呂市域を広げることは難しいかもしれませんが、機能や技術が平均化してしまった現代において、商品・サービスを販売するうえで「コミュニティ」が大切だということは言うまでもありません。

「携帯キャリアをどれにしようか迷うけど、楽天ポイントで買いたいものがあるから楽天モバイルにしよ!」みたいなことが起きるわけです。

「コミュニティ」と「経済圏」がとても大切で、「メタバース」が生まれたことで誰でもここを抑えられるようになったということ、お分かりになりましたでしょうか。

ちなみに「コミュニティ」と「経済圏」を抑えると、今度はそのコミュニティ内でだけ使うことができる「通貨」を生むことができます。ツバルという国家では「法定通貨」になるでしょうし、楽天の場合は「楽天ポイント」になります。

実はこの「通貨」も暗号資産やブロックチェーンの関係で誰でも創れるようになっちゃった……というお話があるのですが、それはまた別の方が記事書いてくれると思いますよ。

なんなら今私がやろうとしていることは「メタバース」×「コミュニティ」×「経済圏」×「通貨」なので、その辺の結果もまたご共有しますね。

では。