メタバースクリエイター&ディレクターの いけもとしょう さんにメタバースのあれこれを語っていただく本連載。
今回のテーマは『メタバースの現状』。いけもとさん独自の目線で、大いに語って頂きます。
クリエイター/ディレクター
最愛の娘へ贈る「おばけの世界」を「絵本」や「メタバース」に創っている人。創造を続けている目的は『100年残るIPとしておばけのパッチを新たな文化にし、子どもにおもしろい未来を贈る』。
2021年、元Facebook社が社名をMeta社に変え「我が社はメタバース事業に尽力していく!」と言い放ってからというものの、世は『大メタバース時代』になった――
……というほどでもなかった。
確かにMeta社のニュースが流れてから瞬間風速高めで「メタバース」という言葉は広まったけど、現在はずいぶん落ち着いたものです。
今の段階で「メタバース事業に新規参入していきます!」という企業はかつてほど多くないという印象です。
経営者の方なら「AIとか宇宙の方に事業展開したら…?」なんて言うかもしれないです。
それはなぜなのか。
シンプルに、お金にならないからです。
事業として成り立ちにくいからです。
考えてもみてほしいのですが、VRゴーグルの普及率は日本で「5%」。
あの「オタク文化よろしくの日本」で「5%」。
要するにメタバースで、イベントや店を展開しても、そこに来るお客さんがものすごく少ないのです。
だから企業がメタバース事業を新規に立ち上げても続かないし、新規メタバースプラットフォームが立ち上がってもなかなか利用されない。……って感じだと私は思います。
時代が追い付いてないのはわかります。
使う人がいないし、お客さんがあまり求めてないのもわかります。
では「メタバース」の活用は無駄なのか――
否。
それでも「メタバース」にはやっぱり可能性が満ちているんです。
今後の市場規模を考えてみると(あくまで予想ですが)、そこは抑えておくべき領域なのです。
そしてビジネスは関係なく、私たちはあのバーチャルの世界に惹かれたんです。
無限に広がるもう1つの宇宙に恋い焦がれたんです。
もちろん「気持ち」だけではなく、活用方法は本当に可能性があると思っています。
すでに存在する事例だと「不登校の子が集まれる場所」とか「教育を受けられない地域の子への教育」とか。
あとは「海外へのアプローチ」。
アーティストが作品を見せるにはピッタリだし、企業の商品やサービスを、「メタバース」を通じて海の向こう側に届けることができます。
だけどここに書いたのは「メタバース」が持つ可能性の中でも、誰もが思いつくほんのひとつまみ。
「メタバース」には、それだけ可能性が眠っているんです。
私は、メタバースに空間を創って何か行動をするうえで、利益を求めなければいいのではないか?と考えています。そうすれば、未来に眠る可能性を探り続けながら、おもしろいモノを創り続けられそうですよね。
目の前に「お金」が欲しいのであれば、今流行りの事業をすればいいわけで……。
そして、その可能性を探っている過程で、自分の周りに「メタバース」に理解を持ち、「メタバース」にログインをしている顧客やファンのコミュニティを形成していけばいいのではないか。
今すぐ「メタバース!!ビジネス!!利益!!!」よりも、未来に向けて時間も知識も投資していき、繋がりを持った方がいいんじゃないのか。
正直それが「お金」に繋がるかは分からないけども、少なくとも「メタバース」が身近な人で自分の周りを囲えば、面白いことができそうですよね。
「メタバース」において、「今」大事なのは……
自分の周りの人たちにとってメタバースを当たり前にする。
自分の周りの人たちにメタバースの世界へ入ってもらう。
これなんだと思います。
私自身、メタバースでの創造がものすごい利益に繋がっていることはなく…というより、稼働分と収益を計算しちゃうと大赤字なんですけど……。
そんな状態でも2年近く「メタバース空間の創造は楽しいよ~」と続けていると、自分の周りの人にとっても「メタバース」が身近になってきています。
おかげさまで「メタバースに創ってる、おばけの集合住宅に暮らしたい人は住民票を買ってね!」とアナウンスしたところ、応援してくれている人が30人ほど購入してくれました。
この数字を小さいとみるか、大きな可能性とみるか……。
そのあたりはあなたにお任せいたします。
では。