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2024.02.21

NFT×農業体験の意義|NFTコミュニティが既存産業にもたらす「人のつながり」

  (引用:TAG farm

2023年9月9日、合同会社ナナタクが運営するジェネラティブNFTプロジェクト「Tokyo Alternative Girls(TAG)」と農業DAOの「Tomajo DAO」が、農業体験企画「TAG Farm」を開催しました。 

NFTプロジェクトでは、「コミュニティが大事」という言葉をよく耳にします。一方で、NFTの技術的な特徴については理解していても、コミュニティという抽象的な概念はよくわからないという方も多いようです。

まずはこの記事で、「NFTを活用したビジネスにおけるコミュニティとは何か、なぜ重要なのか」についてまずは解説します。

その上で、NFTコミュニティで生まれた人々のつながりが現実リアルな世界の既存産業においてどのように活用できるか、具体事例を交えて説明します。

取り組みの概要

農業体験企画「TAG Farm」は、Tokyo Alternative Girls(TAG)とTomajo DAOの2つのコミュニティによって実施されました。

TAG は、NFTを活用してイラストや音楽、3Dアバターなど多様な領域でエンタメを創作するプロジェクトです。特に、ライブパフォーマンスや音楽イベントへの展開に力を入れています。参考:https://tag.nanataku.net/

一方、Tomajo DAO は「web3上に農村をつくる」をモットーに、農業従事者から家庭菜園などに興味がある一般の方まで、広く農業に関わる人が参加しているコミュニティです。オリジナルのNFTコレクションも販売しています。 参考:https://tomajodao.com/

( 引用:TAG FARM公式サイト

本取り組みは、TAGのNFT保有者が無償で農業体験を行うという企画です。参加者には特典として、Tomajo DAOが発行するNFTがプレゼントされました。

イベントのテーマは「農業体験から商品開発まで参加できる」というもので、参加者は自ら稲刈りを行ったほか、収穫した米をパッケージングし、後日別のイベントで販売するという取り組みも行われました。

NFTを活用する目的

ここからは、農業などの既存産業において、NFTをベースにしたコミュニティがどのように活用されるかについて解説します。

まず初めに、NFTプロジェクトにおけるコミュニティとは何なのか?コミュニティが作られる理由も交えて説明し、現実世界の既存産業にどう繋がっていくのか、お伝えします。

NFTコミュニティの特徴

NFTプロジェクトにおける一般的なコミュニティは、以下のような特徴を持っています。

●インターネット上で形成される

コミュニケーションは主に「Discord」というチャットツールで行われる

●NFTプロジェクトの「ファン(応援者)」が集う場になっている

●NFTプロジェクトの運営について議論する場でもある

●ファン側もプロジェクトの運営に参加できることが多い

NFT自体がデジタルツールであることから、そのコミュニティもデジタルの世界、つまりインターネット上で形成されます。また、コミュニティに集った人たちが相互にコミュニケーションを取るにあたっては、Discordというチャットツールが基本的に用いられています。

NFTコミュニティにはプロジェクトの運営に携わっているメンバーに加えて、そのプロジェクトを応援しているファンが多く参加している点も大きな特徴です。

ただ、一部の投資家はNFTを単なる投資対象とみなしておらず、「応援したい」という気持ちを持ち合わせていないケースも見受けられます。そういった層は見切りをつけたらすぐに次の儲かるコミュニティに移ってしまいます。その結果、ミュニティには「純粋にプロジェクトを応援したいファン」が残りやすい構造になっています。

コミュニティ内では、Discordのチャット機能を活用して、NFTプロジェクトの運営について議論がなされます。

また、多くのNFTプロジェクトでは、参加しているファンも運営について意見を発したり、ときには直接的にプロジェクト運営に参加したりするケースも見られます。

なぜコミュニティが必要なのか

多くのNFTプロジェクトがコミュニティを作っている理由には、以下のようなものがあります。

●自分たちのNFTプロジェクトについてより多くの人に知ってもらう

濃いファンに、濃い情報を届ける

応援してくれる仲間を増やす

一緒にプロジェクトを作ってくれる仲間を増やす

なお、上記の内容について、一見するとX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSでも代用できそうに見えるかもしれません。しかし、SNSにおける他者とのつながりは「広く浅い」関係であるため、NFTのコミュニティ作りには不向きだとされています。

NFTコミュニティを作る目的の1つは、自分たちのプロジェクトについて、ファンの人たちに深く知ってもらうことです。

本記事執筆時点の2024年1月において、NFTに関心がある人はまだ少数派です。放っておいても自分たちのNFTプロジェクトについて知ってくれる人が増えていくということは、まず起こりません。

そこで、自分たちのプロジェクトについて多くの人に知ってもらうため、濃いファンに濃い情報を届けるためにコミュニティが必要になります。

SNSでつながる人たちに比べ、Discordのコミュニティに自ら参加しているような人は「プロジェクトの濃いファン」である可能性が高いと言えます。その人たちに、コミュニティの中で濃い情報を届けることで、「ファンの度合い」がより高まります。

そして、ファンの度合いが高まった人たちは、さらに熱心にプロジェクトを「応援」してくれるようになります。

応援者の人は、「TAG Farm」のようなリアルイベントを行った際に、率先して参加してくれる傾向があります。つまり、コミュニティ内で企画を行った際に「必ず盛り上げてくれるプレイヤー」として関わってくれる存在になります。

最終的には、プロジェクトへの想いが高まった応援者の中から、一緒にプロジェクトを作り上げてくれる仲間が見つかる可能性さえあります。

このように、NFTプロジェクトにおけるコミュニティは、「ファン」「応援者」「仲間」を作ってプロジェクトを盛り上げるための必須要素になっています。

既存産業とのつながり作り

そして最近、インターネット上で形成されたNFTコミュニティが、現実リアルな世界の既存産業においても意味を持つようになっています。

例えば、本記事の冒頭でも触れた「TAG Farm」などは良い事例です。

農業などの一次産業は、日本の人口減少や少子高齢化の影響により、今後ますます従事者が減っていく可能性が示唆されています。つまり、日本の多くの既存産業にとって、「その産業に新たに関わってくれる人をいかに増やすか」が重要な課題になっています。

そこで期待されるのが、NFTを軸に形成されたコミュニティです。

現時点でNFTに関心を持っている人や、すでにNFTコミュニティに参加している人は、比較的年齢層も若く、ITなどのテクノロジーにも強い傾向があります。このような層に対して、農業に関心を持ってもらうための取り組みとしては、TAG Farmのような体験企画は最適だと言えるでしょう。

TAGのNFT保有者には子育て世代も多く、親子が揃って稲刈りや商品のパッケージングをする姿も見られました。このようなイベントを通じて、若い人が農業関連の仕事や取り組みに興味を持ち、将来的にそれらの仕事に就く可能性もあります。

新たに関わってくれる人を増やしたいと考えるすべての既存産業において、「NFTおよびそのコミュニティをどのように活用するか」は一考の価値があるテーマだと言えます。

デジタルのつながりがリアルで活きる

本記事では、NFTプロジェクトにおいてコミュニティ作りが重要視される理由、そしてNFTコミュニティが既存産業に新たな人のつながりをもたらす可能性について解説しました。

NFTのアートやゲームを作るといった直接的な活用法と異なり、人を巻き込んでファンを増やしていくコミュニティ作りは、イメージが湧きにくいかもしれません。

しかし、自社の製品やサービスをより多くの人に知ってもらいたいと考えるビジネスパーソンにとって、NFTコミュニティは「濃いファン」を集める最適なソリューションになる可能性もあります。

まだあまりイメージが湧かない方は、実際にNFTコミュニティを作り、現実世界のリアルなビジネスにまで活用できているプロジェクトのDiscordを覗いてみてはいかがでしょうか。