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2024.03.19

STEPNの真の価値とは?環境問題とヘルスケアにおけるM2Eの存在意義

「歩くだけでお金(暗号資産)が稼げる!」と話題になったSTEPN(ステップン)。

Move to Earn(M2E:歩いて稼ぐ)系サービスの先駆けとして、2022年に大きな盛り上がりを見せました。当時は「ゲームで遊んで稼ぐ(Play to Earn)どころか、ただ歩くだけで稼げる」という側面ばかりが注目されましたが、実は社会的な存在意義が非常に大きいサービスでもあります。

この記事では、「環境問題」と「ヘルスケア」という2つの課題を解決するために、STEPNがどのような役割を果たすのか解説します。

STEPNはオワコン?

STEPNは、スマホで専用のアプリを起動しながら屋外を歩いたり走ったりすることで暗号資産を獲得できるサービスです。プレイするには、シューズが描かれた専用NFTを事前に購入しておく必要があります。NFTのレベルを上げることで獲得できる暗号資産の量が増えるなど、ゲーム性も備えているサービスです。

最も流行ったのは2022年。当時は「1日1時間歩くだけで数百万円が稼げた!」など、景気の良い話が飛び交っていました。その後、バブルが弾けたことで、STEPNで稼げる暗号資産GST(Green Satoshi Token)の価格も暴落。これにより、「オワコン」になったと見る人も少なくありませんでした。

しかし、それから2年が経った2024年現在もサービス開発は続いており、今も熱心にプレイする人も少なからずいるようです。

一過性のブームで終わることなく、サービスとして持続できているのはなぜなのでしょうか。それは、STEPNが持つ社会的意義に価値を感じる企業や投資家がSTEPNに資金を投じているためです。投資対象に値すると見なされる理由はどこにあるのでしょうか?その切り口となるのが、現代人の我々が抱える2つの大問題、すなわち「環境問題」と「ヘルスケア」にあります。

ここからは、この2つの課題に対してSTEPNが提供する価値について解説します。

人はお金のために歩くようになった

まずはヘルスケアです。現代を生きる我々は、過剰なカロリー摂取、およびデスクワーク中心の働き方に起因する運動不足により、「肥満」「生活習慣病」という健康上の問題を抱えることになりました。

肥満を解消するための商品やサービスは例を挙げればきりがありませんが、有効な手段の1つは運動です。スポーツジムに通ったり、ジョギングや筋トレに励んだりしたことがある人も多いでしょう。同時に、運動を継続することの難しさを痛感した人も、同じくらい多いのではないでしょうか。

しかし、STEPNはこの「運動は面倒くさい」「続かない」という従来の常識を変え「お金というインセンティブのために運動する」という新たな行動様式を提供したのです。爆発的に流行っていた頃は、「外を1時間歩くだけで会社員の月給が稼げた」というような話があちこちで聞かれました。筆者も、STEPN最盛期には時給12万円を稼いだことがあります。

このような大金が簡単に稼げたことで、プレイヤーの日々の行動は大きく変わりました。彼らにとって運動は「面倒くさいもの」から、「大金を稼ぐために1日足りとも欠かさず取り組むべきもの」になったのです。

まずは「NFTスニーカー」を購入し運動を始める。レベルや装備、スニーカー自体の性能で稼げるレベルも大きく関わってくる。

本記事の筆者も、1日数万円を稼ぐことができた時期は、40度の高熱で体が動かなかった日以外は毎日歩き続けました。大雨が降ろうと、少しばかり体調が悪かろうと関係ありません。「この1時間が数万円にかわる」というモチベーションは、プレイヤーにとって何よりも強いものだったのです。

その結果、当時のTwitter(現X)では「STEPNのおかげで強制的に運動習慣が身についた」という声が多く見られました。そして、熱心なプレイヤーは2024年の現在も、外出時にはアプリを立ち上げて歩き続けています。

このように、動機は「お金のため」ではあるものの、STEPNは人々の行動を激変させることに成功しました。人々の「運動習慣の定着」に大きく貢献したのです。こうして世界的な課題である肥満や生活習慣病の改善につながると見なされたことで、ヘルスケア関連の企業などから資金を集めることに成功しています。集めた資金でさらにSTEPNがサービス内容を向上し、プレイヤーが増加すれば、より多くの人の健康促進につながる可能性があります。

カーボン・オフセットとは

STEPNは、温室効果ガスの排出と地球温暖化の解決に貢献すると考えられています。

まずは「カーボン・オフセット」という概念を理解しましょう。これは、自身が排出した温室効果ガスの排出量を相殺するために行う活動です。具体的には、各企業が以下のプロセスを通じて、自身の「温室効果ガス削減目標」の達成に向けて行動することを指します。

●自社の努力で温室効果ガスの排出量をできるだけ削減する

他の企業や団体が行う「温室効果ガス排出削減活動」を「クレジット」として購入する

世の中には、温室効果ガスの排出量を減らしたり、排出されたガスを吸収する事業を行っている企業があります。これらの企業は、「排出を抑制できた温室効果ガスの量」に応じて、カーボンクレジットと呼ばれる証書のようなものを獲得できます。ガスを過剰に排出している企業は、排出抑制に貢献しているこれらの企業からクレジットを「買い取る」ことで、自身の排出目標に対する未達分を補填できます。言い換えると、「温室効果ガスの排出権をお金で買い取っている」とも言えます。

そしてSTEPNは、カーボン・オフセットという仕組みを通じて、以下の2通りの方法で温室効果ガスの削減に貢献しています。

 クレジットの買い取り 

実際に温室効果ガスの排出抑制に貢献している企業などからクレジットを買い取り、資金提供をすることで、企業の活動を支援しています。既に7つのプロジェクトに対して2万3,000トン以上の余剰炭素を大気から除去するための資金を提供しました。

人が歩けばCO2排出は減らせる

STEPNをプレイすることで行動に変化が表れ、直接的に温室効果ガスの排出削減になると考えられています。

●近所のスーパーへの買い物程度ならば、車を使わず徒歩で行く

通勤・通学時に1駅早めに降りて徒歩で会社や学校に向かう

自宅で過ごしていた時間をSTEPNにあてて、外に出るようになる

車や電車などの利用が減れば、エネルギー消費や温室効果ガスの排出量が減ります。自宅で過ごす時間が短くなり、その結果、照明・エアコン・テレビ・パソコンなどを使う時間が短くなれば、同様にエネルギー消費や温室効果ガスの排出が減らせます。1人あたりの排出抑制量は微々たるものかも知れませんが、プレイヤー数が増加すれば、その効果は極めて大きなものになる可能性があります。

このように、STEPN自体が「温室効果ガスの排出削減に貢献しているサービスである」と見なされるようになれば、今度はSTEPNがカーボンクレジットを「付与される側」になり得ます。そして、このクレジットを他の企業に売却することでさらなる資金獲得に成功し、事業活動にあてることができるようになります。

このような理由から、STEPNは「直接的に」温室効果ガスの抑制に貢献できるサービスとして、社会的な存在意義が認められつつあります。

社会貢献で存在価値を高める

本記事では、環境問題とヘルスケアへの貢献という視点から、STEPNの存在意義について解説しました。

STEPNのようなMove to Earnのサービス、またはPlay to Earnに該当する各種web3ゲームは、「ただ稼げること」に留まらず、「社会に対してどのような良い影響を与えられるか」という切り口からも注目されるようになっています。

web3関連のプロジェクトを利用する側・作る側のいずれもが、「そのサービスが果たす社会的意義は何なのか」を常に考えることが、今後より求められるようになるかもしれません。