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2024.03.26

神社でメタバース? 「人を巻き込む」プロジェクトの全貌

MetaStep(メタステップ)に連載も頂いていたメタバースクリエイターのいけもとしょうさん。2024年3月、いけもとさんのSNSを覗いてみると「神社をメタバースでつくるクラウドファンディング開始」のアナウンスが!? 「神社でメタバース? 想像もできないけどなんだか面白そう」。そう感じたMetaStep編集部は、現在進行形のプロジェクトの現状をリアルタイムで語って頂くべく、今回寄稿をご依頼。(いけもとさんからは「プロジェクトへの熱い気持ちが原稿に入りました!」と一晩で書き上げて頂きました!)
当プロジェクトにかける並々ならぬ熱量。何が彼を突き動かすのか。そして、なぜメタバースなのか? いけもとさんに大いに語って頂きました。

いけもとしょう

クリエイター/ディレクター

最愛の娘へ贈る「おばけの世界」を「絵本」や「メタバース」に創っている人。創造を続けている目的は『100年残るIPとしておばけのパッチを新たな文化にし、子どもにおもしろい未来を贈る』。

note|https://note.com/ikemotodir

どうも、メタバースクリエイター&プロデューサーの「いけもとしょう」と申します。今回は『現実にある神社をメタバースに創る』というお話をさせて頂きます。

・神社中心に広がった「一宮市」というおもしろい街

・3つの思い

・御奉賛金とクラウドファンディング

・メタバースの創造は人を巻き込める

神社中心に広がった「一宮市」というおもしろい街

この度、"The Sandbox"というメタバースに、愛知県一宮市に実在する「真清田神社(ますみだじんじゃ)」を創らせて頂けることになりました。

まず「真清田神社」についてご説明させて頂きます。この神社は、私が暮らす愛知県「一宮市」の名前の由来にもなっている神社なのです。

名古屋市の周辺一帯は、平安時代のころから現代まで「尾張(おわり)の国」と言われており、そこにいくつかある神社の中でも、社格が一番高い神社だったため「尾張の國一之宮」と言われていたのが「真清田神社」。※社格=偉さではなく、当時の都である京都から参りやすい順とのこと。

そして、その「真清田神社」が鎮座していたのが「一宮市」という街なのです。「一宮」という地名は日本国内にいくつかあるようですが、市政が敷かれているのはこの街だけらしいですよ。

街と直結している「真清田神社」。一宮市民にとってはどんな存在なのでしょうか?これはメタバースに神社を創るうえでも知っておいた方がいいことです。そしてプロジェクトを進めるうえで、ちょうどプロモーション映像の制作も考えていたので、一宮市民の皆様にこの質問を投げかけてインタビューをしてみました。

インタビューをして分かったことは、「真清田神社」が市民にとっても愛されていること。生まれてから数十年、一宮市で生きてきた方々にもインタビューをしてきました。その諸先輩方は口をそろえて言います。

「一宮市民にとって、真清田神社は誇りでありシンボルなんだ」

そりゃそうですよね。街の名前の由来にもなっていて、数百年前から人の成長と共に生きていき、境内で開かれる祭りごとは今の時代でも大いに盛り上がる。「真清田神社」は一宮市民にとって身近に在り感謝を感じている、一宮市のアイデンティティなのだと。「いやいや、昔からこの街にいる人だけが言ってるんでしょ?」……と思う人がいるかもですが、そんなことはないのですよ。

あれは先日、一宮市の小学生数人に、「メタバースってなに?」というお話をさせてもらったときのことです。

子どもたちにメタバースについて説明し、体験してもらい、大いに楽しんでもらった後、「今度このメタバースに一宮の真清田神社を創るんだよ!」と話したところ「え、マジで!すごい!!」というリアクションが返ってきました。

「子どもの神社離れ」なんて言葉も聞く昨今。「真清田神社」はどうやら大人だけでなく、一宮の子どもたちにとっても身近で思い出深い場所のようです。

でもこれって一宮市だけでなく、日本という国に暮らす人全員にいえることなんじゃないかなと思ったりもします。

3つの思い

さて。「真清田神社」がどれだけ大切な存在なのかお話したところで本題。この「真清田神社メタバース化Project」は誰かに頼まれたわけではなく、私の中の「思い」を原動力に、神主様に直接交渉をさせて頂き、進み始めました。この思いというのは私の中にある「3つの思い」になります。

1.「パパ」としての思い

2.「クリエイター」としての思い

3.「いけもとしょう」としての思い

これらの「思い」について短くお話させてください。

1.「パパ」としての思い

4年ほど前、私たち夫婦が子を授かった際、妻の地元である「一宮」という街に越してきました。

そしてコロナ真っただ中の2020年9月、最愛の娘・まゆが生まれました。

お子さんのいらっしゃるママパパさんならご存じかと思いますが、子が生まれることで、神社はとても密接に関わっていきます。

出産前の「戌の日」。

出産後の「お宮参り」。

成長を祝う「七五三」。

誰もが神社へ向かう「初詣」。

新年を迎える際、古い年の厄を落とし幸福を祈願する「どんど焼き」。

一宮に暮らす私たち家族にとって、これらの行事は真清田神社で経験してきました。娘の誕生から成長の過程をずっと見守って頂いているからこそ、パパとして、真清田神社には感謝の思いがあるのです。

2.「クリエイター」としての思い

今回のプロジェクトですが、実際にクリエイションをするのは私ではなく、数人のクリエイターさんに創って頂きます。

中でも、如月工房(きさらぎこうぼう)さんというクリエイターは、マインクラフトのような立方体を組み和せて、人物や建築物を創る「ボクセルクリエイター」なのですが…。

今回のプロジェクトとは別に、私が1年以上前から進めている「絵本メタバース化Project」というものがあるのですが、そちらでもクリエイションしてくれている方です。

この「絵本メタバース化Project」では、まるでロンドンにあるビッグベンかのような時計塔を創って下さいました。

これだけでなく、和風建築もこのクオリティで創れてしまうのです。

メタバースに真清田神社を創って子どもに残したい。もちろんクオリティの高いものを創りたい。

だからこそ如月工房さんに創って頂く事にしました。そして「素晴らしいクリエイションを発揮するクリエイターさんにはしっかり還元したい」というロジックで、後ほど記載するクラウドファンディングに至りました。

3.「いけもとしょう」としての思い

私は創造をする中で、1つの理念を掲げています。それがこちら。

この理念に基づき「真清田神社をメタバースに創り、子どもたちに贈り、未来に残したい」と考えているのです。

真清田神社という身近なものがメタバースにあることで、一宮の子どもたちにとって、クリエイションや事業が、新しい可能性の1つになるかもしれない。

メタバースに「真清田神社」が"ある未来"と"ない未来"では、"ある未来"の方がおもしろそう。もしかすると、このプロジェクトをきっかけに「真清田神社」で働きたいという人が出てくるかもしれない。そんな「かもしれない小さな可能性」や「おもしろそうな未来」を、私の最愛の娘を始めとした一宮の子どもたちに贈りたい。

これらが「真清田神社メタバース化Project」が始まった理由です。

御奉賛金とクラウドファンディング

ところで皆さん、神社の「御奉賛金(ごほうさんきん)」というものをご存じでしょうか。

まず「御奉賛」とは、神仏に対して気持ちを持ってご奉仕・お手伝いすることをいい、「御奉賛金」は、神社への寄付金という意味です。神社が古くなった時に、奉賛として村人たちが集まって力を合わせて立て直したっていう歴史からきているもの。

しかし今の時代だと、神社の建築や立て直しは、建築のプロ中のプロが行うことで、街の人々が直せるような代物ではございません。そこで、神社の修繕や建て替えなどで【資金が必要な際に人々から募るお金】のことを「御奉賛金」っていうみたいです。その資金を使い、プロが創り直すみたいな。・・・あれ??この仕組み、どこかで聞いたことが……。そう、クラウドファンディングです。

群衆(クラウド)から資金調達(ファンディング)するとはまさにこのこと。「御奉賛金」とは昔ながらの「クラウドファンディング」だったのです。私も以前、最愛の娘へ絵本を贈る時に、出版のための資金がなかった時はお願いをしたものです。(参考:英訳つき絵本を出版して、世界の子どもたちに”挑戦する大切さ”を伝えたい!

そしてお分かりの通り、神社とクラウドファンディングの相性は良い……というより歴史的にすでに行われていることなのです。先に述べた通り、今回のプロジェクトは私以外のクリエイターが素晴らしいクリエイションを披露してくださるので、そのクリエイターさんに還元をしたい…。

ということで制作予算を集めるべく、2024年3月22日(金)17時から4月7日(日)までの期間、「PICTURE BOOK」というプラットフォームにて、クラウドファンディングを実施するに至りました。

目標金額の500,000円は、クラウドファンディングを実施しようと思ったきっかけの1つでもある「如月工房」さんへの還元をベースに設定しておりますが、今回のプロジェクトは他にも神社に欠かせないものを創って下さるクリエイターさんが数名います。もし支援額が目標金額以上集まった場合、そのクリエイターさんたちにも還元をしたいと考えております。

メタバースの創造は人を巻き込める

1つ、今回のプロジェクトを進めていくうえで確信したことがあります。

「メタバースの創造は人を巻き込める」

例えば今回の「真清田神社メタバース化Project」に向けたクラウドファンディング。リターンには「メタバース真清田神社の提灯や掲示板に名前を残す」というものや、「あなたのオリジナルアバターや出店を設置する」といったものがあります。

ご支援して下さった方は、間違いなく「この空間の作り手の1人」になるわけです。

「人を巻き込んで作り手を増やす」というのは、創造だけでなく何か行動を起こすうえでとても大切なこと。巻き込んだ相手、つまり作り手側になった人は無意識でも当事者意識が芽生えます。作り手だけでなく、応援してくださっている方たちを集めて1つのコミュニティを形成することだってできる。そしてメタバースという場所は集まる場所としてはうってつけなのです。世界中どの場所からでも、同じ空間で会えますから。

そしてコミュニティがある事のメリットは、次の創造が抜群に始めやすくなることです。なぜなら「創造を応援・支援する」「一緒に創り上げる」という文化がすでに醸成されているからです。特に令和6年現在、メタバースの空間は、動画ほど誰もが創れるものではありません。であれば、こういったコミュニティを通して「メタバースの創造に参加できる」ということは、それ自体が1つの価値なのかもしれません。そんなことを考えながらクラウドファンディングの設計を行いました。

……さて。

この記事を書いているのが2024年3月21日(木)。

クラウドファンディングが始まるのは3月22日(金)17時から。

この記事に信頼感と納得感を持たせるためには、クラウドファンディングを成功させるしかありません。記事が公開される頃、クラウドファンディングの現状はどうなっているのでしょうか。

未来の自分よ、目標は達成しているかい?

MetaStep読者の皆さんはその結果をここからご覧ください。

私の心の奥にあるのは、どこまでいっても「最愛の娘へ創造を贈りたい」という気持ちなのですが、今回の「真清田神社メタバース化Project」も同様なのです。大衆受けはさほど考えておらず、とても個人的な「思い」から始まったお話です。

…数年前の私なら、「自分がやりたいことだし自分が創ったと言ってドヤりたい。1人で創る!」みたいなことを考えて、1人でガシガシ進めていたかもしれません。しかし、今は個人的な思いから始まったことでも、「せっかくなら色んな人を巻き込んで創った方が楽しそうだよね!」と思うようになりました。

……そんな心境の変化が起こる中、世界にこんな "ことわざ" があることを知りました。

If you want to go fast, go alone; if you want to go far, go together.

早く行きたければ、1人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。

どうやら私は、みんなと遠くに行きたいようです。

では。

MetaStep編集部より

いけもとさんの熱いプロジェクトを是非応援したい! ということで、本クラウドファンディングにMetaStepも参画させて頂きました!選択したのは「メタバース真清田神社の空間内に、出店を設置」!

プロジェクトの進捗を見守っていくとともに、MetaStepの出店も含め、今後どのようなメタバース空間が創られていくのか、引き続きウォッチを続けていきます。