変化の激しい時代、「ブランド」の価値が改めて見直されている。新規事業開発やマーケティング、販売促進などに携わるMetaStep(メタステップ)読者にとっても「ブランディング」は大きな関心ごとだろう。ブランドは、企業が持続的成長を遂げるための重要な要素であることは言うまでもなく、その本質や最新動向を理解することは、ビジネスの成否を分けるといっても過言ではない。
今回、MetaStep(メタステップ)編集部は、世界的なブランドコンサルティングファーム、インターブランドジャパン主催のレセプション「The Bran℃ 2024」を現地取材。BMWやスターバックスなど、世界を代表するブランドを支援する同社が考える「ブランディング戦略の今」を追った。繰り返し語られたキーワードは「ブランドのアンプリファイ(増幅)」だ。(文=MetaStep編集部)
インターブランドは、1974年にロンドンで設立。今年50周年を迎えた世界最大のブランディングコンサルティングファームだ。日本法人であるインターブランドジャパンも今年が設立から40年。節目となる今年、これまでの取り組みと新たなブランディングへの挑戦を大々的に発表する場として位置づけられたのが、2024年4月18日に開催された「The Bran℃ 2024」だ。
国内の大手事業会社を中心に200人以上が招待され開催された本レセプションの会場は、新国立競技場だ(当日、MetaStep編集部がレセプションに参加した雰囲気は、MetaStep公式noteでもレポートしているので併せてご覧いただきたい)。
オープニングで挨拶に立ったインターブランドジャパン シニアエグゼクティブディレクターの佐藤紀子氏は「今回のレセプションは、会場選びから徹底的にこだわりました。インターブランドにとって節目となる2024年。社としても新しい挑戦をしたい。ベンチマークや前回を超えようという発想ではだめだ。ゼロベースで何か面白いことをやってみようと考え、この新国立競技場という場所を選びました」と会場についての狙いを語り、200人を超える来場者への感謝の意を述べた。
新国立競技場のコンコースで、競技場の雰囲気を感じながら、オープニングと参加者同士による歓談が行われた
「私が誇りに思うのは、例えばブリティッシュ・エアウェイズを利用したときに『このロゴや座席をインターブランドが作ったんだ』と誇れることです」。そう熱く語りかけたのは、乾杯のスピーチで登壇したインターブランド グローバル最高経営責任者&プレジデントのゴンザロ・ブルーホ氏だ。
グローバル最高経営責任者&プレジデントのゴンザロ・ブルーホ氏
「我々は25年間、グローバルのブランド価値評価ランキング『Best Global Brands』を発表しています。このランキングは、グローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化するもので、ブランドが顧客に対して提供する価値だけではなく、現在そして未来の社会に対する役割や責任に関する活動の評価もさせて頂いています。おかげさまで、世界における重要なブランドランキングに成長することができました。ここで1,000社を超えるお客様すべてのお名前を挙げることはできませんが、GE、マイクロソフト、スターバックスなど、世界を代表するブランドはもちろん、日本でも多くの企業をご支援させて頂いております」(ゴンザロ・ブルーホ氏)
ゴンザロ・ブルーホ氏は、厳しい競争環境の中で、生き抜いていくためには「強いブランド」が必要とし、グローバルの観点で捉える日本ブランドの価値について「日本ブランドの価値の強みは、①信頼性、②クリエイティビティ、③品質の3つが挙げられます。世界においても倫理観、誠実性、柔軟性が求められており、日本ブランドの『信頼性』は大きな強みです。クリエイティビティについても他国と全く違うアプローチが世界でも評価が高い。『メイドインジャパン』の品質については言うまでもありません。価値の高い日本ブランドは、世界でもっと評価されてしかるべき。そのためには、ブランドをアンプリファイ(増幅)させていく必要があります」と解説した。
「皆さん、アンプリファイ(増幅)してますか!?」そう語りかけてスピーチをスタートしたのは、インターブランドジャパン 代表取締役社長 兼 CEO 並木将仁 氏だ。グローバルでブランドに対する高い期待がされるなか、日本は他国に比べ「ブランドに対する期待値が低い」ことに警鐘を鳴らした並木氏。現在のブランディングにおける問題点を熱く解説した。