AIやCGを活用して、広告効果の最大化を実現する。新時代のクリエイティブを目指し作られたスタジオがお台場にある。この度MetaStep(メタステップ)編集部は「極AIお台場スタジオ」に潜入。 最新技術が満載のスタジオに、編集部員も終始興奮。広告制作の在り方を一変させるかもしれないポテンシャルを有するスタジオの細部に迫った。(文=MetaStep編集部)
東京・お台場――。人気ファッション店などが並ぶショッピングモール目当ての買物客で賑わうダイバーシティ東京プラザ。その一翼を担うオフィスタワーの中に「極AIお台場スタジオ」はある。
こちらのスタジオを運営しているのはインターネット広告事業やABEMAなどのメディア事業、ゲーム事業などを展開するサイバーエージェント。今回は、同社のグループ企業で、スタジオ内で広告の制作を行うCyber AI Productionsの担当者にスタジオを案内していただいた。
まず案内されたのが、3台のLEDウォールで構成されたLEDエリア。
LEDウォールとは、映像を撮影する際の背景に用いられるLEDディスプレイのこと。そこに空間の映像を表示させれば、あたかもその空間で撮影したかのような動画や写真が撮れるという代物である。
スタジオで、まず目に入るのが、国内トップクラスというLEDウォールだ。デモとして国内最大級のシリンドリカル型LEDウォール(幅15m)に映してもらったのは、東京・大手町の風景を描いた3DCGの映像。
撮影するカメラとLEDウォールの映像は連動し、カメラ位置に合わせてCGの角度やLED照明は自動的に最適化されるため、カメラを動かしても、臨場感あふれるリアルな動画が撮影できる。実際に、LEDウォールの前に立って動画を撮影したが、出来上がった映像は本当に大手町に立っているかのよう。違和感はまったくない。
なお、背景はCGのため、夕日に照らされている街並みや夜間の街並みに瞬時に変えることが可能である。しかし、背景が夜でも、その前に立つ人や商品にあたる光が日中の太陽光をイメージしたものでは違和感が生じてしまうのはいうまでもない。そこで背景のCGに合わせて、天井部分の照明の色や光量を調整するシステムを導入。被写体とカメラの動きにあわせてCG背景やLED照明をコントロールすることができるため、臨場感あふれる動画素材の撮影を効率よく実現できる。ゴーストフレーム技術による多重収録を用いることで、In Camera VFXとクロマキー背景など、2種類以上の映像を1テイクで同時収録することも可能だ。
臨場感があり、現実と違和感のない映像が撮影できるのであれば、ロケ地で撮影をする必要はなくなる。ロケ地への移動時間が削減されるほか、天気、季節、ロケーションにも左右されず、いつでも必要な映像が撮影できるようになる。さらには現実では表現不可能な空間もCGで自由に作りだすことも可能で、広告クリエイティブ表現の幅を飛躍的に拡張することができる。