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  3. バーチャルマーケットの歩き方【イントロダクション】

今年も暑い夏がやってくる。今回で12回目を迎える世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」が2024年7月20日(土)から開催される。今回、MetaStep(メタステップ)のパートナー企業であるHIKKYのご好意で、いち早く「バーチャルマーケット2024 Summer」に潜入取材し、レポートをお届けできることに。題して「バーチャルマーケットの歩き方」。世界中から延べ120万人を超す来場者を誇り、ギネス世界記録(※バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数)にも認定されているVRイベントの魅力をさまざまな切り口で全4回にわたりお届けする。初めての方も、参加したことがある方も、是非本連載を参考に「バーチャルマーケット」を楽しみ、ビジネス活用のためのヒントをつかんでほしい。

イントロダクションにあたる、第1回では今更聞けない「バーチャルマーケット」の基礎知識をお届け。そもそも「バーチャルマーケット」とは何か? 2018年から現在までどのような歴史を辿ってきたのか。改めて学んでいこう(文=MetaStep編集部)

すべてはSNSでのつぶやきから始まった

「バーチャルマーケット」、通称Vket(ブイケット)は、メタバース上にある会場で、アバターなどの3Dアイテムやリアル商品(洋服、PC、飲食物など)を売り買いできる世界最大のVRイベントだ。商品売買の他にも会場内で乗り物に乗ったり、接客を受けたり、音楽ライブに参加するなど、メタバースならではの”体験”を提供している。

メタバースの先駆け的イベントとして、初めて開催されたのが2018年8月。ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」上で3Dアバター・3Dモデル展示会としてスタートした。第1回は、HIKKYのメンバーでありVTuber/Virtual-tainerとして活躍していた動く城のフィオ氏が主催した。

動く城のフィオ氏は、Vketマガジン(公式note)で2018年頃を振り返り、「当時は、バーチャル空間で使う用途の3Dモデルやアバターなどの販売物がぽつぽつと出始めた時期でした。バーチャル空間での創作に価値が認められていく光景を嬉しく思い、『これが大きなマーケットに育っていったら良いなぁ』と感じたことを覚えています。ほんのちょっとの使命感と、やってみたらどうなるんだろうという好奇心を原動力に、着想から開催までの約1ヶ月半を走り抜けました」と語る。

すべては動く城のフィオ氏によるX(旧Twitter)の投稿からはじまった

第1回のイメージポスターと会場の様子。120万人が来場するイベントへの第一歩だ

「バーチャルマーケット」最大の特徴は、VRクリエイターによるバーチャル空間の祭典である点だ。「バーチャルマーケット」は、ミッションに 「バーチャル空間を発展させ、豊かにする」ことを掲げる。バーチャル空間に、現実空間に比する経済圏を作ることによって、人々の生きる選択肢を増やす 「きっかけ」 であり続けたいとしている。

過去に掲載したHIKKY舟越代表のインタビューにもあるとおり、メタバースはクリエイターやコミュニティによって発展してきた文化だ。

HIKKY 代表取締役CEOの舟越 靖氏は、まだビジネス要素が皆無だった時代にも「こんなにも熱量が渦巻く中で何か生みだせない訳はない。この熱量が広がれば、さらに面白いものがたくさん生まれる」と感じていたという

「バーチャルマーケット」も創作するクリエイターの力や思いで成長を遂げ、それに比例するように出展数も増えていった。第1回(2018年)の出展サークル数が約80サークル、出展企業・IP数が2社だったところから、昨年冬に開催された「バーチャルマーケット2023 Winter: CONNECT」では、出展サークル数約900サークル、出展企業・IP数が約85社まで拡大した。

画像は「バーチャルマーケット2023 Winter: CONNECT」の企業出展会場の1つ「パラリアルロンドン」のコンセプト画。現在はヨーロッパやアメリカなど世界中の都市を再現し旅できるようになっている

世界各地から24時間気軽に来場可能。企業や官公庁まで出展する一大イベントに成長

「バーチャルマーケット」は、ヘッドマウントディスプレイはもちろん、ゲーミングPCさえあれば、世界中どこからでも開催期間中は24時間会場へアクセス可能だ。会場によってはスマートフォンやタブレットなどからURLクリックのみでアクセス可能できる。

バーチャルマーケットには、持っているデバイスによってさまざまな参加の仕方が可能だ (引用)バーチャルマーケット公式ホームページ 

多くの来場者が集まる空間に新たなPRの場やコマース市場として商機を見出し、現在は様々な業種の企業・団体が出展。賑わいをみせる。出展企業の幅も広がり、交通業界・通信業界・ゲーム業界・アパレル業界から、官公庁・地方自治体・NPO団体まで顔ぶれもさまざまだ。

2024年に創業100周年を迎えるダイキン工業も初出展を決めた

「バーチャルマーケット」は自らが持つ機能として「きっかけ」を掲げる。クリエイターにおいては、定期的にイベントが開催されることにより「〆切を得る」ことができ、創作モチベーションの向上と、作品発表の「きっかけ」となる。来場するユーザーにとっては好みの作品や今まで知らなかった推しクリエイターとの出会いのきっかけを得ることができる。出展企業・IPにとっては、次世代の空間のインターネットで自社がどのような価値を提供できるかの実験を行うきっかけになる。さまざまなステークホルダーがそれぞれの立場で、きっかけをつかむことができるのが、バーチャルマーケットが成長した所以だろう。

また、バーチャルと現実を同時に楽しめるリアルメタバースイベント『Vket Real 2024 Summer』も展開される。バーチャルと現実のプレイヤーが力を合わせて謎に挑む「周遊型謎解きゲーム」や、「Vket公式オフ会」を実施。さらに、VR機器を使わずにバーチャル会場のユーザーと双方向のコミュニケーションを取りながら楽しむ「新メタバース×リアル連動ゲーム」など、革新的な体験もご用意されているという。2024年8月3日(土)と4日(日)の2日間、東京の秋葉原・渋谷、大阪の難波の3か所で同時開催されるリアルイベントにも注目だ。

前回500人超が参加したオフ会など、公式イベントが秋葉原渋谷、大阪の3か所で開催される予定だ

バーチャルの姿でリアルに飛び出せる「Vket Walk」はメタバースとリアルが融合した好評の企画だ

バーチャル空間での「あるある」な行動を歌い上げる、人気お笑い芸人 AMEMIYAさんによるオリジナルソング『バーチャルマーケット 開催しました』も開催を盛り上げている

本連載では、このあとビギナー編、クリエイター編、ビジネス活用編など、さまざまな視点で「バーチャルマーケット」の楽しみ方・学び方をお届けしていく。2以降もどうぞお楽しみに。

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