DeSci(Decentralized Science:分散型科学)とは、ブロックチェーンやNFT、トークン、DAOなどのWeb3技術を活用することで、既存の科学が抱える問題を解決しようというムーブメントです。
私たちの生活を支える科学技術の世界は、一見すると合理的な判断ですべての物事が動いているように見えます。
しかし実際は、ビジネスにおけるWeb2(中央集権的な管理者に依存している状態)の構造と同じように、大きな権力を持った一部のプレイヤーの振る舞いによって、個々の科学者が不利益を被る構造になってしまっています。
この記事では、まず初めにWeb2的・Web3的な社会構造とは何かを解説します。その上で、既存の科学の世界が抱える問題点、およびブロックチェーンをはじめとするWeb3の技術がそれらの諸問題をどのように解決できるのかについて説明します。
科学の世界に従事しているビジネスパーソンは少数かもしれませんが、ご自身が携わるビジネスの業界にも似たような構造が発生していないか、考えながらお読みいただければ幸いです。
Web2とWeb3をそれぞれ一言で表すと以下のようになります。
●Web2:SNSを基盤とする、現在のインターネットのあり方
●Web3:ブロックチェーンを基盤とする、これからのインターネットのあり方
Web2は、GAFAをはじめとする巨大テクノロジー企業を中心としたインターネットのあり方です。彼らはSNSなどのインフラを通じて世界中の人々の個人情報を集め、それをビジネスに活用しています。Web2型の社会構造の中では、あらゆることがGAFAのような「プラットフォームを支配している企業」の一存に左右されます。
たとえば、個人・企業のX(旧Twitter)やYouTubeのアカウントがいきなり凍結されるといった事例がそれに該当します。インターネット上で自分が運用しているSNSのアカウント、あるいは運営しているビジネスが、巨大プラットフォームの独断で抹消されてしまうリスクをはらんでいるのがWeb2の世界です。そして、このようなインターネットのあり方、社会のあり方に異を唱えるべく誕生したのが、ブロックチェーン技術を基盤としたWeb3の考え方です。