1. MetaStep TOP
  2. ビジネス活用を学ぶ
  3. PLATEAU(プラトー)のまちづくりに関連する活用事例3選を紹介

2024.05.09

PLATEAU(プラトー)のまちづくりに関連する活用事例3選を紹介

国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトPLATEAU(プラトー)。デジタルツイン技術を用いてデジタル上に再現された都市データは、防災や都市開発、映像作品の舞台まで幅広く活用されています。今回は「まちづくり」に焦点を当て、PLATEAUを活用した3つの検証事例を紹介します。

(過去に掲載したPLATEAUの基礎知識「PLATEAUとは?国土交通省が主導する都市の3Dモデル化プロジェクトを紹介」も是非併せてご覧ください。)

首都高速道路都心環状線|都市高速道路管理の効率化

(引用:PLATEAU

首都高速道路都心環状線を実証場所に、MMS測量(周囲を3次元測量する技術)で集めた大量の点群データから、高速道路の3Dモデルを自動で作る技術が開発されています。これまで、高速道路の管理や手入れの効率化のために3Dモデルの活用が期待されてきましたが、モデルを作るのが困難でコストもかかるという問題がありました。

今回の実証実験では、点群データ(3Dモデルを点描で表示する技術)に含まれる構造物を、PLATEAUの3D都市モデルの分類項目に従い、これはビル、これは道路……といった要領で自動分類し、課題の解決を図ります。

実験の結果、従来の方法に比べて作業時間を75〜80%減らすことができ、大きな効率化が確認されました。

今後はより複雑な構造にも対応できるように技術を高め、他の3Dモデルとの互換性も確保して、実用化を目指します。将来的には全自動で3Dモデルを作り、管理や手入れのアプリと組み合わせることで、低コストかつ効率的な道路の管理が期待されています。

東京都新宿区|都市開発支援ツール「PLATEAU TwinLink(ツインリンク)」の開発

(引用:PLATEAU

PLATEAUの3D都市モデルとBIMモデル(3次元の形状情報に加え建物の属性などを合わせ持つデータ)、空間IDを統合したデジタルツイン基盤を活用し、まちづくりの各フェーズで利用可能な都市開発支援ツール「PLATEAU TwinLink」が開発されています。

本ツールでは、エリア全体の俯瞰や建築物の設計情報閲覧、周辺施設情報の表示、経路案内などの機能を実装し、業務円滑化や価値向上を目指しています。

3Dゲームや映画に使われるゲームエンジンUnreal Engine 5を用いて3Dモデルを高画質に描画し、シティプロモーション機能、施設プロモーション機能、マップ編集機能、解析機能を開発しました。

(引用:PLATEAU

不動産販売や住民説明の業務を行う事業者を対象に有用性検証を行った結果、情報の分かりやすさや正確性、活用可能性について一定の評価を得られましたが、情報量が多すぎて消費者が混乱する可能性があるという課題が残りました。

今後は、より汎用的で広範囲かつリアルタイム性の高いデータの取り込みや、適切な情報量の提供を検討し、新しい建築物の計画検討のシーンで活用できる可能性が期待されています。

長野県茅野市|開発許可のDX v2.0

(引用:PLATEAU

長野県茅野市ではPLATEAUの3D都市モデルを活用し、効率的な開発許可手続きを実現する申請管理システムが開発されています。市街地において一定規模の開発を行う場合、都市計画に基づく開発許可が必要です。手続きの審査項目は多岐にわたるため、行政担当者の大きな負担がかかる、申請・相談に時間がかかるという課題があります。

実証実験では、2022年度に開発した「開発行為の適地診断・申請システム」を基礎に、前面道路幅員の自動判定機能、オンラインコミュニケーション機能、提出書類のバージョン管理機能等を追加し、実務利用可能なレベルを目指しています。

開発許可申請を行う事業者が画面上で開発予定面積や区分を入力するとデータベースが参照され、開発許可の概況診断結果を示す仕組みです。

(引用:PLATEAU

本システムの効果検証では、事前相談の件数は半減しましたが、道路台帳図の閲覧・説明を行う所管課では相談件数の減少は限定的でした。ユーザビリティ検証では、前面道路判定機能やオンラインコミュニケーション機能において高い評価を得られ、65%以上が「窓口訪問の負担軽減につながる」と回答しました。

今後は、事前相談から本申請まで一貫して管理ができるシステムへと発展させることを目標として、開発許可の効率化を継続して行います。

まとめ

まちづくりは基本的に規模が大きく、行政との連携や住民の理解が必要となるため、非常に煩雑な手続きが必要です。3D都市モデルを活用すれば情報をリアルかつ具体的に伝えられるため、スムーズな合意形成につながります。

また、首都高速道路都心環状線の例のように、複雑で老朽化する建造物の管理・点検は今後必須です。3Dモデルを測量データから自動で作ることができれば、全国的な人材不足の解消に繋がるでしょう。

PLATEAUの3D都市モデルがもたらす都市開発の可能性は計り知れません。今回紹介した事例を参考に、自社の事業にどう活用できるか、ぜひ検討してみてください。