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2024.07.02

分散型アプローチでサービス革新:DePIN(ディーピン)を利用した4つの活用事例を紹介

DePIN(ディーピン)は(Decentralized Physical Infrastructure Network)の略語で、日本語で「分散化された物理的なインフラネットワーク」を意味します。ブロックチェーンと暗号資産を活用した、新しいアプローチとして注目を集めています。一見すると難しそうな印象ですが、すでに多くの導入事例がある、注目の技術です。

新しいサービスの創出や、既存サービスに置き換わる可能性を秘めており、様々な分野から注目を集めています。今回は、実際のDePINを活用するプロジェクトを4つ紹介します。

(DePINの基礎知識は「NFTの新技術DePIN(ディーピン)!初心者向けにわかりやすく解説」をご覧ください。)

Hivemapper|ブロックチェーンを活用した地図サービス

(引用:Hivemapper

Hivemapper(ハイヴマッパー)は、ユーザーがドライブレコーダーで収集した映像データをブロックチェーン上で共有することで、報酬としてHONEYトークンを得られる分散型の地図サービスです。ユーザーが提供した映像データをAIで分析し、リアルタイムで更新される高精度な地図の作成を目指しています。

日本での導入も進んでおり、2024年6月時点ですでに52%の地図データが収集されています。

(引用:Hivemapper

Google Mapsのような中央集権型の地図サービスとは異なり、ユーザー主導でデータが収集・更新されるため、よりオープンで透明性の高い地図サービスの実現が期待されています。

Render Network|分散型クラウドレンダリングプラットフォーム

(引用:Render Network

Render Network(レンダーネットワーク)は、3Dイメージや動画を作成するために必要なGPU(Graphics Processing Unitの略:画像処理装置)計算機能をシェアするプラットフォームです。

GPUリソースを持つ人が計算処理を行うことで、高性能なGPUを持たない人でも、高品質な3Dグラフィックや動画を高速で処理可能。リソース提供者は報酬として暗号資産RNDRを受け取ります。

近年、AIの機械学習にもGPUが利用されており、ChatGPTを皮切りとしたAIブームの影響で需要が高まっています。慢性的にGPUの品薄状況が続いていることから、Render Networkの利用者は増加していくと考えられるでしょう。

Helium|分散型ワイヤレスネットワーク

(引用:Helium

Helium(ヘリウム)は、世界中にワイヤレス5Gの接続を提供することを目的とするDePINプロジェクトです。ユーザーはホットスポットと呼ばれる専用機器を設置し、インターネットに接続できるエリアを広げることで、報酬として暗号資産HNT、IOT、MOBILEを受け取れます。

主にヨーロッパ諸国やアメリカ、中国で普及していますが、日本の一部地域にも導入が進んでいます。

(引用:Helium

2022年9月に米大手通信事業者T-Mobileと5年契約を結び、2023年12月に月額20ドルで全米のユーザーが無制限のデータ、通話、テキスト通信を利用できる新プランを発表したことで大きな注目を集めました。

従来の携帯電話会社の料金よりも大幅に安価な価格でサービスを提供することから、今後の普及率の高まりが期待されています。

Filecoin|分散型ファイルストレージ

(引用:Filecoin

Filecoin(ファイルコイン)は、ブロックチェーンを活用した分散型のファイルストレージシステムです。ユーザーは自分のストレージスペースを他者に提供することで、報酬として暗号資産FILを得られます。

一方でデータを保存したいユーザーは、安全かつ低コストでデータを保存できます。また、データの保存先が分散化されているため、より安全性の高いデータ保存が可能な点も特徴です。

近年、通信技術の発達により画像や映像データの大容量化が進んでおり、ストレージ容量の圧迫対策が課題として挙げられています。

このまま技術の発達が進むほど、Filecoinの需要が高まることが考えられるでしょう。

まとめ

以上、DePINを活用した4つのプロジェクトを紹介しました。これらのプロジェクトに共通しているのは、従来の中央集権型のサービスとは異なる、分散型のアプローチを取っている点です。

ユーザー主導でネットワークが構築・維持されることで、よりオープンで透明性が高く、効率的なサービスの提供が可能になります。今後も、DePINの活用事例が増えていくことで、様々な分野でのイノベーションが期待されます。

DePINの活用事例から、分散型のアプローチがもたらす革新的なサービスの可能性を学べます。各企業においてもDePINの動向を注視し、自社プロダクトへの応用を検討することで、新たな価値創造につなげていくことが期待されます。