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2024.08.09

【インタビュー】建築、発電、防災……仮想空間がビジネスに活きたこれだけの「実例」

「VRシミュレーション」とは何か? 現実世界で強行するには大きなリスクやコストの伴う実験を、仮想空間で負担なく実施できる技術だ。実際の建物や人などを3DCGでコピーし、仮想空間上にリアルと見紛う状況を作り出し、開発テストや社員教育、訓練など、さまざまな場面で活用できる。特に建築分野では、現実とほぼ同等の縮尺で再現された建築物「デジタルツイン」を作り上げ、より現実に近い状態でのシミュレーションができる段階まで既に来ている(関連記事:「デジタルツインとは?メリットや活用事例を紹介」)。

一方で、こんな疑問も当然に思い浮かぶだろう。VRシミュレーションだって、安くないのではないか? 簡易的な3DCGのモデルを一つ作るのに数万円はかかるのではないか。それを都市レベルの規模で行い、シミュレーションまで実現させるとなれば、甚大な費用となりはしないか。

実のところそれは、もう昔の話である。今は大きく敷居が下がった。手軽に都市を作り、シミュレーションまで利用できるソフトウェアはとうに登場している。感度の高い企業の中には、既に目覚ましい成果を挙げた事例もある。彼らは予算をかけることなく、新しい技術のメリットを享受し、自社の課題を解決している。今回は、まさにこのVRシミュレーションソフトウェアを提供するフォーラムエイト社に取材を依頼した(文=MetaStep編集部)。

国土交通省が無償で配布!? 「都市の3DCGモデル」でVRシミュレーションが手軽に

「かつては、実際の街並みや道路を3D仮想空間に構築するために、建築物のCGモデルを大量に作るため膨大な費用と手間が必要でした。そのうえ自動車の実証実験といったシミューレションをするとなると、自動車CGモデルの作成、リアルの実験場と全く同じ環境にすべくパラメータを調整しなければならず、さらなる時間とコストがかかっていました」

国土交通省が都市の3DCGモデルを無償提供するプロジェクト「PLATEAU」(プラトー)

「しかし、現在はソフトウェアの発達に加え、国土交通省が進めている日本全国の3D都市モデルの整備・オープン化プロジェクト『PLATEAU(プラトー)』で、都市の3DCGデータ(デジタルツイン)や、国土地理院が公開する座標データがなんと無償で一般公開されていて、数多くの企業が利用しています。コストや手間を抑えて、手軽にシミュレーションや活用ができるようになったのです」

このように語るのは、VRシミュレーションソフトやメタバースプラットフォームシステムの開発・提供を行っているフォーラムエイトの松田克巳氏。同社は90年代から土木設計支援のパッケージソフトウェア開発事業を手がけてきた。その知見を応用し、3D空間を簡単なPC操作で作成できるソフトウェア「UC-win/Road」を販売した。

ソフトウェア内で都市や建物を構築し、そのままシミュレーションをすることも可能

このソフトを使うと、予め用意された3D空間内に道路や橋といった建設物を自由に構築できる。長年培ってきた建築CGモデルの膨大なデータをソフトウェアで公開した上、3DCG制作の知識が無い人でも扱える簡便さも魅力だ。

「PLATEAU」の都市データを「UC-win/Road」に読み込み、大雨災害時のハザードマップに活用

先ほど紹介した都市の3DCGモデル「PLATEAU」(プラトー)も、「UC-win/Road」と連携させ、現実の都市モデルをソフトウェア上に再現できる。一から時間とコストをかけて都市モデルを構築する必要がない。

国の支援体制やソフトウェアの発達が進み、専門知識を持たない初心者でも気軽にVRシミュレーションを利用できる環境が整っている。これを利用し、既に実用化を進めている自治体や企業も少なからず存在する。次節からはその中から特に注目の事例を紹介。3D立体表現は、企業・自治体の活動へいかに有効か、ご覧頂こう。

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