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2024.02.21

XRデバイス紹介シリーズvol.2 MR対応で、ビジネスの可能性が広がる。『Meta Quest 3』

ここ最近、「クエスト3」という単語を耳にしたことはありますか? 「クエスト3」とは、『Meta Quest 3』のこと。マーク・ザッカーバーグ氏率いるMeta社より発売された、新型XRヘッドセットです。

家電量販店でも陳列されている最新機種なのですが、『Meta Quest 2』との違いも含め、イマイチどんなものかわかっていない方も多いはず。本記事では、『Meta Quest 3』での特徴や、ビジネスシーンで想定されるユースケースについて、ご紹介していきます。

デバイスの概要

(動画引用:Meta Quest)

『Meta Quest 3』は、Meta社より発売中のXRヘッドセットです。2023年10月に発売された、同社の最新デバイスでもあります。

スマートフォンなどで体験できる360度動画とは異なり、方向だけでなく奥行まで表現される本格的なVRが、ヘッドセット一台で体験できます。さらに、「MR(Mixed Reality:複合現実)」にも対応しているのが最大の特徴です。

機材は、ヘッドセットと左右のコントローラーで構成されています。ヘッドセットは充電式(USB Type-C)、コントローラーは乾電池式(単三電池1本)。ヘッドセットの連続稼働時間は、用途次第ですが2〜3時間程度です。

購入はMeta社の公式サイトのほか、国内の家電量販店や通販サイトで行えます。数あるVRデバイスの中でも、国内販路が非常に多く、その気になればお近くの家電量販店に赴いて手に入れることもできるはずです。

MRにも対応した、Quest 2を上回るスペックの新型

『Meta Quest 2』以来、実に3年ぶりとなる新型デバイスとなる『Meta Quest 3』。多くの性能が『Meta Quest 2』を上回りつつ、MR(複合現実)に対応しているのが、大きなポイントです。

MRに本格対応

(動画引用:Meta Quest Japan)

『Meta Quest 3』の最たる特徴はMRに本格対応している点です。これまでもMRデバイスはいくつか世に登場していますが、「コンシューマー向け機種」かつ「VRも併用できる」という点を持つのは、『Meta Quest 3』以外にはまだ数えるほどしかありません。

MRとは、現実世界の上に、バーチャルなオブジェクトを重ね合わせる表現を指します。部屋の一部をゲームの世界に上書きさせたり、部屋の壁にバーチャルな時計やポスター、フィギュアを表示させたりと、「現実と仮想が混ざり合う」ようなエンタメや、「日常世界の拡張」を行うツールを生み出すことができます。

特に「日常世界の拡張」は、エンタメ以外の用途を発展させやすい方向性です。「目の前にYouTubeの動画を映しながら家事をする」といった、多くの人にとって「わかりやすくて便利」なユースケースを生み出しやすいため、今後の発展が予測される領域でもあります。

『Meta Quest 3』は、そんなMRを体験できるデバイスの中でも、トップクラスにリーズナブルな手段です。Appleが発表した『Vision Pro』も、モノとしてはMRに近く、非常に高性能であるとされていますが、いかんせん非常に高価。手に取りやすさで言えば『Meta Quest 3』にしばらくは軍配が上がるでしょう。

より軽量に、より高性能に

MRに大きく注目しましたが、『Meta Quest 2』の後継機という位置は伊達ではなく、基礎的なスペックも『Meta Quest 3』は優秀です。

特に大きいのが本体の小型化です。本体重量は515gと、『Meta Quest 2』の503gから微増しているのですが、本体のサイズは『Meta Quest 2』と比べ約40%ほどスリムになりました。

 

(筆者の『Meta Quest 2』(画像左)と、『Meta Quest 3』(画像右)の比較)

これにより、かぶった際のウェイトバランスが前後均等に近くなったのが大きな特徴。前方へ重心が偏っていた『Meta Quest 2』と比べ、よりフィットしやすく、より疲れにくいヘッドセットになりました。

ディスプレイ解像度も片眼4K超と向上しており、映像クオリティも大きく向上。そのほかの性能も一回り強化された部分が多く、『Meta Quest 2』の上位モデルといって差し支えないデバイスと言えます。その上で、アプリケーションは『Meta Quest 2』と後方互換性があり、基本的な使い勝手に大きな差異がないのもポイントです。

ユースケースについて

2023年10月に発売されたばかりの新型ということもあり、ビジネスシーンへの採用は模索段階にあります。以下では、『Meta Quest 3』で想定されるユースケースについて、筆者の見解をいくつか述べていきます。

MRデバイスとして

まず考えられるのはMRデバイスとしての活用でしょう。ビジネスシーンでの活用としては、「現実世界にバーチャルな情報を付加する」がわかりやすく効果的な手法です。

たとえば、設備のメンテナンスを行う際にマニュアルを近くに表示させたり、設計途中の商品の3Dデータを眼前に表示させたり、といった使い方が挙げられます。前者であれば建設や施設管理、後者であれば製造やデザインの分野になるでしょう。もちろん、研修・トレーニング用途においても活用が見込まれるはずです。

(動画引用:Immersed)

(動画引用:トバログ)

 また、PCと接続し、バーチャルな拡張ディスプレイを表示させるデバイスとしての活用も考えられます。フルカラーで表示される現実の光景に、多数のバーチャルディスプレイを出力させることで、物理的なマルチディスプレイよりも自由な環境でPC作業がこなせます。

(動画引用:Mile Miracle)

ゲストに装着してもらう場合も、観光地などで文化財や歴史的なできごとの再現を3Dモデルとして表示する、あるいはVTuberなどの3DCGキャラクターを眼前に登場させる、といった「現実世界にバーチャルな情報を付加する」方向性で効果を発揮するはずです。VRと比較した場合、「周囲の光景が見える」という安心感も、なじみのない人には心理的な負担を減らす要素となるでしょう。

比較対象となるのは『NREAL Air』や『ThinkReality A3』のようなグラス型デバイス。こちらの方が軽量でより装着しやすいですが、視野角はやや狭めで、使用に際しては別途スマートフォンなどの端末接続が必要です。『Meta Quest 3』は使用するエリア設定が別途必要となり、屋外利用には原則適していないものの、単体で動作し、視野角も広いのが利点です。

『Meta Quest 2』の上位モデルとして

『Meta Quest 2』の上位モデルとして、同機からの置き換え、あるいは新規導入時に『Meta Quest 2』ではないこちらを選択する、というケースも考えられます。

『Meta Quest 2』と比較した際の優位性は、MR機能の有無はもちろん、「重心バランスがより適切」「解像度などで優れる」など。総合的な使い勝手や快適さで言えば、『Meta Quest 3』の方がよりよい選択となります。

一方、販売価格は128GBモデルが74,800円(税込)、512GBモデルが96,800円(税込)と、『Meta Quest 2』の倍近いため、大量配備は若干やりにくいかもしれません。「質を重視し、少数を配備する」という目的にマッチしているとも言えます。(※価格は2024年1月現在のもの)

なお、ビジネス用途の場合、法人向けプログラム「Meta for Work」や、サブスクリプションプラン「Meta Quest for Business」を利用できます。複数人の利用を想定した「共有モード」などを利用できるため、多人数運用を想定する場合は、デバイス導入と合わせてMeta社セールスチームへ問い合わせてみるのがベターでしょう(詳細はこちら)。

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