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2024.04.05

XRデバイス紹介シリーズvol.4  軽量で理想的な重量バランス!『PICO 4』

『Meta Quest 2』や『Meta Quest 3』と並び、家電量販店などでよく見かけるVRヘッドセットがあります。その名は『PICO 4』。お近くの店頭で手に取れるだけでなく、「おすすめのVRヘッドセットって何?」と聞けば一定確率で返ってくる一台でもあります。

とはいえ「Meta Quest」シリーズと何が違うのか、そして実際に使えるデバイスなのか、気がかりな人も多いはず。本記事にて、その特徴や、ビジネスシーンで想定されるユースケースについてご紹介していきます。

デバイスの概要

(動画引用:PICO XR)

『PICO 4』は、Pico Technologyより発売中のVRヘッドセットです。2022年10月に発売された、2024年4月現時点における同社の最新機となります。

スマートフォンなどで体験できる360度動画とは異なり、方向だけでなく奥行きまで表現される本格的なVRが、ヘッドセット一台で体験できます。「Meta Quest」シリーズと同様に、基本動作にPCは不要です。

機材は、ヘッドセットと左右のコントローラーで構成されています。ヘッドセットは充電式(USB Type-C)、コントローラーは乾電池式(単三電池2本)。ヘッドセットの連続稼働時間は、用途次第ですが2.5〜3時間程度です。

購入は国内の家電量販店や通販サイトで行えます。数あるVRデバイスの中でも、国内販路が多く、その気になればお近くの家電量販店に赴いて手に入れることもできるはずです。

重量バランスよし!対応アプリには課題

前項を読んで「ほとんど『Meta Quest 2』と同じでは?」と思われた方、鋭いですね。実際、『PICO 4』の大まかな特徴は「Meta Quest」シリーズと似通っており、使い方も同じようなものになります。

ただし、見逃せない違いがあります。以下にて列記していきましょう。

より適切な重量バランス

『PICO 4』の大きな特徴として、重量バランスが挙げられます。まず、本体(装着ストラップ含む)の総重量は公表されていませんが、筆者による実測値は588.5g。『Meta Quest 2』の503g、『Meta Quest 3』の515gよりも少々重めです。

 (筆者所持『PICO 4』。頭頂部に近い位置で重量バランスがとれている)

しかし、重量バランスはほぼ前後均等です。顔面と後頭部へ均等に重さが分散することで、装着時の負荷が大きく軽減されます。前方へ重量負荷がかかりがちな「Meta Quest」シリーズと比べ、最大の差異がここにあります。その上で、解像度は両目4320×2160、1200ppiとかなり高め。『Meta Quest 2』以上です。

 

筆者所持の『PICO 4』(左)と『Meta Quest 2』(右)比較。

『Meta Quest 2』は『 Eliteストラップ バッテリー付き』を装着し、179g上乗せされている

 

『PICO 4』(左)と『Meta Quest 3』(右)比較。全体的なスケール感はほぼ同等

「Meta Quest」シリーズも、『Eliteストラップ』と呼ばれるオプションパーツに換装すれば同じような重量バランスにすることは可能ですが、その場合は重量が100gほど加算されます。「600g以内で前後均等な重量バランスの高画質な一体型VRヘッドセット」という、貴重な特性を有するのが『PICO 4』というデバイスです。

一言でまとめれば「装着感が快適で画質もよい!」ということです。

対応アプリは少ない

軽量かつ重量バランスの良い『PICO 4』ですが、「Meta Quest」シリーズより優れたデバイスかと言えば、必ずしもそうではありません。その理由の一つに、対応アプリの数があります。

『PICO 4』単体で実行できるアプリは専用のストアから購入できます。しかし、これは「Meta Quest」シリーズ向けのストアとは全くの別物。そして後発のストアということもあり、配信アプリの数は「Meta Quest」シリーズよりも現状は少ないのです。

決して総数は少なくはなく、評判のよいゲームなどもあるものの、VRゲームのキラータイトルのひとつ『Beat Saber』などは配信されていません。「Meta Quest」シリーズの代用として買うのは、よく考えたほうがベターです。

ただし、「Meta Quest」シリーズと同様に、PCに接続してPC向けのVRコンテンツを遊ぶことは可能です。『PICO 4』の基本機能だけでも実施可能なほか、優秀な有料アプリ『Virtual Desktop』も配信されているため、この用途に限れば「軽量かつ重量バランスが良好」という特性が活きる場面があります。

どんな場面で使える?

総合的に見れば、「Meta Quest」シリーズとは一長一短とも言える『PICO 4』。とはいえ、一台ですぐ動かせること、49,000円(128GB)/59,400円(256GB)という比較的安価な価格帯から、一括で複数台の導入を検討する場合には有効な選択肢です。

そして特に、「PCと接続して運用する」という用途の場合は、「軽量かつ重量バランスが良好」という特性から「Meta Quest」シリーズよりも最適となり得るでしょう。PC接続型のヘッドセットと比較しても、安定性をとるなら有線、自由さをとるなら無線と、接続方法を選べるのもポイントです。

 (画像引用:姫宮VIGサービス プレスリリース

国内にて確認できる運用実例としては、姫宮VIGサービスによるソーシャルVR『VRChat』体験サービス「スグバース」にて、複数台の『PICO 4』運用が確認されています。VR未体験の人が、一定時間連続でVRを体験する上で、画質が良く、装着負荷の少ない『PICO 4』は、たしかに最適解と言えそうです。

こうした実用例から、社員研修やVRトレーニング、そして不特定多数によるVRコンテンツ体験といったユースケースにおいて、「VRに不慣れな人にも快適に体験してほしい」というニーズがある場合は、『PICO 4』は有効な選択肢になるでしょう。もちろん、手を出しやすい性能と入手性から、ビジネスへの本格的な導入前に「VRってどんなもん?」と、担当者が試してみるためのデバイスとしてもオススメしやすい部類です。

ただし、PICOシリーズには直近で”思わせぶり”な動きも確認されています。直ちに必要な場合は特に考えなくともよいですが、後続機が出てくる可能性もあるため、気になる方は情報感度を高めに保っておくとよいかもしれません。

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