ブロックチェーンや暗号資産に興味を持ち、その仕組みを探求しようとしている方は多いのではないでしょうか。暗号資産を理解する上で欠かせない概念が「公開鍵」と「秘密鍵」です。
しかし、この2つの言葉を聞いたことがあるけれど、詳しい内容についてはよくわからない、という方もいるでしょう。そこで本記事では、暗号資産における公開鍵と秘密鍵の役割と仕組み、暗号資産ウォレットでの公開鍵と秘密鍵の管理方法について解説します。
ぜひ最後まで読んでいただき、暗号資産の安全性や利便性を高めるための理解を深めてください。(ブロックチェーンの基礎知識については「ブロックチェーンとは何か?仕組みをわかりやすく解説」をご覧ください)
(引用:Unsplash)
暗号資産において公開鍵は「アドレス」とも呼ばれ、他のユーザーから暗号資産を受け取るために使用され、ユーザーの身元を特定せずに取引するために使われます。銀行口座で例えると口座番号のような存在です。
一方、秘密鍵は、ユーザーの暗号資産を管理するための鍵であり、絶対に他人に知られてはいけない情報です。銀行口座で例えると暗証番号のような存在のため、他人に秘密鍵を知られてしまうと資産を簡単に盗まれてしまいます。
暗号資産は、公開鍵暗号と呼ばれる暗号化技術を利用しており、この2つの「公開鍵」と「秘密鍵」を使って、データの「暗号化」と「復号化」を行います。
暗号化とは、データを秘密の鍵を使って読めない形に変換することです。例えば、「こんにちは」というメッセージを暗号化すると「FtGh7J2kL9」のようなランダムな文字列になります。暗号資産を送金する際は、受信者の公開鍵を使うことで取引データが暗号化されます。
復号化とは、暗号化されたデータを秘密鍵を使って元の読める形に戻すことです。先ほどの例で言うと、「FtGh7J2kL9」という暗号化されたデータを復号化すると、「こんにちは」という元のメッセージが復元されます。暗号化された取引データは、受取人の秘密鍵でしか復号化できないため、取引データを安全に受取人に届けられるのです。
暗号資産を保管するウォレットと呼ばれるソフトウェアまたはハードウェアは、ユーザーの公開鍵と秘密鍵を生成し、管理する役割を担っています。ここでは、イーサリアムベースのウォレットとして人気の高いMetaMaskを例に、公開鍵と秘密鍵の管理について見ていきましょう。
(MetaMaskについての解説は「Web3の初歩!暗号資産ウォレット「MetaMask」(メタマスク)の使い方」をご覧ください)
MetaMaskは、ブラウザの拡張機能やスマホアプリとして動作するホットウォレット(Web上で管理するソフトウェア)です。インストールすると、ユーザーごとに公開鍵と秘密鍵のペアが生成されます。
MetaMaskの公開鍵はアドレスと呼ばれる「0x」で始まる42文字の16進数の文字列です。このアドレスは、他のユーザーから暗号資産を受け取るために使用され、アカウントメニュー上部に表示されています。
一方、MetaMaskの秘密鍵は、ユーザーのウォレットにアクセスするための鍵であり、64文字の16進数の文字列で表されます。
MetaMaskでは秘密鍵から「シークレットリカバリーフレーズ」という12個の単語の並びが生成され、人間にとって覚えやすい形式で表現されます。
MetaMaskでは、シードフレーズはアカウントの作成時に表示され、安全な場所に書き留めて保管する必要があります。なぜなら、シードフレーズがあれば秘密鍵を復元でき、それによってアカウントを復元できてしまうからです。
MetaMaskを使って暗号資産を送金する際は、送金先のアドレス(公開鍵)を指定し、自分の秘密鍵を使って取引に署名します。この署名により、取引が本人によって行われたことが証明されます。受信者は、送信者のアドレスを使って、取引の有効性を確認できるのです。
また、Dapps(分散型アプリケーション)を利用する際も、MetaMaskの公開鍵と秘密鍵が使用されます。Dappsは、接続されたアドレスを使ってユーザーを識別し、スマートコントラクト(ブロックチェーンを活用した自動契約の仕組み)とのやり取りを行います。秘密鍵を使ってDappsでの取引に署名することで、取引の有効性を証明する仕組みです。
公開鍵と秘密鍵は、暗号資産の基盤となる技術です。公開鍵は、暗号資産を受け取るために使用され、秘密鍵は、取引に署名するために使用されます。公開鍵暗号を使うことで、暗号資産の取引を安全に行えます。
暗号資産を安全に管理するためには、ウォレットを使って公開鍵と秘密鍵を適切に管理することが重要です。特に、秘密鍵(シードフレーズ)は、ユーザーの資産を守る大切な情報であり、厳重に管理する必要があります。
暗号資産の仕組みを深く理解することは、その可能性を最大限に引き出すために欠かせません。公開鍵と秘密鍵の役割を理解し、適切に管理することで、暗号資産をより安全かつ効果的に活用できるようになるでしょう。