原材料の調達から生産、流通、販売を経て、エンドユーザーに商品やサービスが届けられる仕組みのことを「サプライチェーン」と呼びます。ここにインターネット以来の技術革新とも表現される「ブロックチェーン技術」を取り入れ、活用している事例が増えてきています。
原材料からエンドユーザーに届けられるまで、複数の企業が複雑に関係するサプライチェーンでは、企業間の情報の共有や品質管理が課題です。企業によって商品の配送時期が日によってバラバラだったり、検品の精度にムラがあったりしては、一定の品質を保ち、エンドユーザーに届けることができません。
この課題解決に活かされているのがブロックチェーン技術。ブロックチェーン技術のもつ透明性と、改ざん困難な特性が生かされています。ブロックチェーン技術が実際にどのように活かされているのかを知ることは、技術の本質をするために重要です。
具体的な活用事例を交え、どのように課題を解決しているか紹介しましょう。
たとえば、リンゴが実際に消費者に届くまでには、以下のような過程があります。
1.農家がリンゴを栽培し、収穫する
2.収穫されたリンゴは、選果場で選別・包装される
3.包装されたリンゴは、卸売業者に運ばれる
4.卸売業者は、スーパーにリンゴを販売する
5.スーパーは、消費者にリンゴを販売する
この一連の流れが、リンゴのサプライチェーンです。上記すべての工程が別々の企業によって行われるため、万が一品質不良などの問題が起こった際の確認作業は、「どの企業で、どのタイミングで発生した?」というのを遡って見つけていく必要があり、膨大な時間を必要とします。
そこで、「商品にタグをつける」要領でブロックチェーンの仕組みを取り入れ、まず情報を改ざん困難な状態で共有します。まずこれだけでも企業間で、収穫日や検品日、発送日といった情報を共有することが容易になるだけでなく、産地偽装や責任逃れも防止できるメリットがあります。透明性や効率性が増すだけでなく、「改ざん困難」という所がポイントになっています。